小規模宅地特例が1月から拡大
カテゴリ:05.相続・贈与税 トピック
作成日:01/09/2014  提供元:21C・TFフォーラム



 マイホームの相続に欠かせない「小規模宅地の評価減特例」が1月から大幅に拡大した。小規模宅地の評価減特例とは、被相続人が実際に住んでいた自宅の敷地を配偶者や同居の子どもが相続する場合、240平方メートルまでの部分について相続税評価を80%評価減するという制度。

 ここでいう「同居(居住)」要件については、近年ニーズの多い二世帯住宅に対応しておらず使い勝手が悪かった。二世帯住宅といってもさまざまなタイプがあるが、現行では、内階段や内廊下でつながっているなど二世帯を自由に行き来できる構造でなければ「同居」とはみなされず適用はない。

 近年、二世帯住宅人気が高まる中で、この杓子定規な取扱いに批判が集中していたが、平成25年度税制改正により、内部で行き来できるか否かに関わらず二世帯住宅であれば「同居」とみなされることになった。これにより、外階段タイプの完全分離型の二世帯住宅でもその敷地全体が小規模宅地の評価減特例の対象になる。

 注意したいのは、改正により新たに「登記要件」が登場したこと。被相続人名義の土地全体が同特例の適用対象となるには、上に建っている一棟の二世帯住宅が区分登記されていないことが条件となる。例えば1階に親世帯、2階に長男世帯が住む外階段タイプの二世帯住宅の場合、1階部分と2階部分がそれぞれ区分登記されている場合には特例の適用はないが、共有登記されていれば完全分離型の二世帯住宅でも敷地全体が特例適用になる。現在区分登記されているケースで特例適用を狙いたいなら、早めに共有登記を検討する必要がある。

 また、被相続人が老人ホームの入居中だった場合の取扱いも拡大された。現行では、いわゆる終身利用権付きの老人ホームに入居した場合、居住地が老人ホームに移ったものとみなされ特例の対象外だが、自宅が他人に貸し付けられていないなどを条件に適用が認められることになった。自宅を終の住処と認めた改正は「血の通った税制」として評価が高い。

 二世帯住宅の同居要件と老人ホーム入居中の取扱いの拡大は平成26年1月以後の相続からの適用となる。