日税連、個人事業者の消費税申告ミス多発で注意呼びかけ
カテゴリ:13.会計士・税理士業界 トピック
作成日:07/13/2009  提供元:21C・TFフォーラム



 日本税理士会連合会(日税連)は、最近の消費税申告において、不動産所得や事業所得を有する個人事業者が業務の用に供していた建物等の譲渡収入を消費税の課税売上に加算し忘れたことにより、消費税が過少または無申告になっているケースが多発しているとして、同会のホームページ上で具体的な事例を示して注意を呼びかけている。

 消費税の課税事業者の譲渡収入のうち、業務の用に供していた建物や機械などの収入は消費税の課税売上に該当するので、消費税の確定申告の際には、他の課税売上と合算して申告する必要があるが、最近の申告内容をみると、これらを加算し忘れたために過少申告や無申告になっているケースが多いというのだ。

 例えば、不動産賃貸業を営む消費税課税事業者のAは、複数保有する貸付用賃貸マンションのうちの1室を売却し、譲渡損失が生じていたが、その年分の消費税の確定申告にあたり、そのマンションの譲渡は損失が生じていたことから、建物相当金額を課税売上に計上する必要はないと判断し、消費税の申告を過少に行っていたケースが例示されている。

 また、個人病院を経営していた消費税課税事業者のBは、土地建物及び医療関係機器を含む事業用設備等を負担付贈与で長男に譲渡した。Bは、その年分の事業所得及びその負担付贈与に係る譲渡所得等の確定申告を行っていたが、消費税の確定申告の際に建物及び事業用設備相当額を課税売上に計上することを失念していた。

 これらは消費税の課税事業者のミスのケースだが、消費税の課税事業者でなくても、譲渡収入のうち、業務の用に供していた建物や機械などの収入は基準期間の課税売上に加算する必要があるので要注意だ。

不動産賃貸業を営むCは、複数のマンションや事務所の貸付を行っており、毎年900万円前後の家賃収入を得ていたが、各基準期間とも課税売上高が1000万円を超えなかったため、消費税の課税事業者に該当していなかった。しかし、一昨年に賃借人からの要請でマンションの1室を3000万円(建物:2000万円、土地:1000万円)で売却した。この譲渡により、その基準期間に係る課税売上高が1000万円を超えていたにもかかわらず、譲渡収入部分は基準期間の課税売上高の算定には影響しないと判断していたことから、消費税の申告を行っていなかったという事例も紹介されている。