コカ・コーラ社に対する移転価格税制適用による否認額を大幅減額
カテゴリ:07.国際税務 トピック
作成日:02/25/1998  提供元:21C・TFフォーラム



 日本コカ・コーラ社に対する東京国税局による税務調査で、移転価格税制の適用により1994年に否認された約380億円の申告漏れが240億円減額されていたことがこのほど明らかとなった。1994年3月、日本コカ・コーラ社に対する東京国税局による税務調査で、同社が米国法人である親会社に対して支払うロイヤリティー(知的財産権等の使用料)の額が第三者との通常の取引価格より高く設定されているため日本コカ・コーラ社の課税所得が圧縮されているとして、親会社との取引を第三者との通常の取引価格で行ったものとして計算することにより、1990年~1992年までの3年間で約380億円が申告漏れとなっているとして更正された。これに対し、日本コカ・コーラ社は同社が支払うロイヤリティーは適正かつ妥当であると反論し、日米租税条約に基づき相互協議を申し立てていたが、関係者によると、このほど日米税務当局による相互協議により、日本側が約380億円の申告漏れ所得を約140億円に減額することで合意に達したという。
 移転価格税制は、1986年度税制改正により租税特別措置法で創設され、多国籍企業などが特殊関係にある企業間の取引において取引価格を操作することにより所得を他国に移転することを防止することを目的としているが、これにより生ずる国際的二重課税など税務上の問題については相互協議による救済を申し立てることができるとされている。