反則調査に基づく資料の課税処分への利用は妥当と判示
カテゴリ:02.所得税 裁決・判例
作成日:03/17/2000  提供元:21C・TFフォーラム



 税務調査を行わずに反則調査に基づく査察資料だけをもとに更正処分、重加算税が賦課決定処分されたことに対して、国税通則法24、27条、行政手続法1条、憲法31、13条違反を主張、課税処分の取消しを求めていた事件で、新潟地裁は違法性の著しい場合はともかくも、反則調査に基づく資料を課税処分に利用することは相当と判示、原告が求めていた更正処分等の取消請求を全面的に棄却した(松田清裁判長)。

 この事件は、無資格で税理士業務を営んでいた原告の関与先が反則調査を受けて、所得税法違反で告発されたことを契機に、原告も税理士法違反で逮捕されたことが発端になったもの。その後、国税局からこの反則調査に基づく査察資料の送付を受けた原処分庁が、原告の所得税に対して更正処分、重加算税の賦課決定処分をしたことから、憲法31条の適正手続違反等を理由に課税処分の取消しを求めていたという事件だ。

 これに対して判決は、まず課税処分に反則調査の資料を利用したことについては、反則事件が存在するとの嫌疑もないのに課税資料の収集を目的に国税反則取締法上の強制調査による資料のみに基づいて課税処分するという違法性の著しい場合はともかく、適法な反則調査の資料を引き継いで課税処分に利用することは許されると解釈。また、更正の要件である課税調査の有無については、十分な調査が尽くされたとは言い難い面はあるとしつつも、調査が全くされていないなど違法性の程度が著しい場合にのみ取消事由になると指摘、調査が不十分であった点や原告が主張する種々の手続き違反が課税処分に影響を与えるものではないと判示、納税者の主張を全面的に斥けた。

(1999.7.15新潟地裁判決、平成10年(行ウ)第3号)