廃止されている交際費の金額基準「3000円」
カテゴリ:01.法人税 トピック
作成日:08/29/2001  提供元:21C・TFフォーラム



 調査において、交際費が他の勘定科目に紛れ込んでいないか判断する際に「3000円」以下なら大丈夫との金額基準が今でも一人歩きしているが、国税当局はこの金額基準を昨年廃止しているのはご存知だろうか。
 以前は確かに、税務調査の効率化のため、極少額の支出に対する調査はあえて見合わせ、その余力を不正発見のための調査に振り分けていた。交際費でいえば、交際費に該当する支出を交際費以外の勘定科目から抽出する際の金額基準を設定していた。例えば、東京国税局では、茶菓の接待費用は抽出せず、来客食事代・業務に伴う従業員の飲食費・得意先訪問の手土産代などは3000円程度までは抽出しないという金額基準があった。しかし、1件当たりの支出額が5000円以下はすべて抽出しないといった広島国税局の金額基準もあり、全国一律の基準ではなかったようだ。このようなことから、国税当局の金額基準の設定があたかも交際費判定の法令解釈として機能する恐れがあり、金額基準が国税局によって異なることにより、これが一律に適用された場合には、地域によって法人の税負担に差異が生ずる恐れがあるとの総務庁の税務行政監察結果報告の指摘に基づき、国税当局は昨年6月までに金額基準を廃止している。
 とはいえ、調査の効率面、調査に投入できる事務量といったことから推測すれば、この「3000円」以下はOKという基準は今後も大きな目安であることには変わりない。