国税庁、競馬払戻金に支払調書および源泉徴収案
カテゴリ:02.所得税 トピック
作成日:01/17/2013  提供元:21C・TFフォーラム



 公営競技に対する課税方法が変わりそうだ。競馬、競輪、競艇、オートレースといった公営競技の配当金は、現在、一時所得として所得税の課税対象とされている。しかし払戻金をわざわざ申告する人はほとんどおらず、国税は長年取りっぱぐれているのが現状。そこで国税庁では、税収を確保するため整備に乗り出した。その方法として挙げているのは、ギャンブルで儲けた人を確実に捕捉し、きっちり課税する方法。

 平成25年度税制改正に向けて国税庁が示した独自の「意見」には、「払戻金からその払戻金に対応する馬券等の購入金額を控除した残額が100万円を超えるものについては、告知を義務付けるとともに、支払調書の提出の対象とし、残額に対し10%の税率で源泉徴収の対象とする」と、かなり具体的に提案している。

 また、公営競技に関する所得金額の計算方法や損失の取扱いなどについて法令上明確化することも提案。現在、公営競技の配当金の所得区分について明記しているのは通達(所得税法基本通達34-1)のみで、法律(所得税法34条)では一時所得の定義こそ規定しているものの、公営競技の配当金がこれに当たるとは書かれていない。一時所得計算上の必要経費ついて法律では「直接要した金額」とあるが、この範囲の解釈については物議を醸しているところで、「取りやすく」するために法整備は欠かせないようだ。

 国税庁はこのほか、公営競技に関する所得を一本化して新しい所得区分を設けることも提案している。一時所得を構成する収入から競馬や競輪等の払戻金だけ抜き出すことで管理しやすくするという考えだ。さらに公営競技による所得を申告分離理課税方式にすることも視野に入れており、この機に便乗して課税システムを抜本的に見直したい様子。平成25年度税制改正でどこまで採用されるか注目が集まる。