主要原材料の無償支給があれば縫製等も役務の提供
カテゴリ:03.消費税 裁決・判例
作成日:08/24/1998  提供元:21C・TFフォーラム



 表生地の無償支給を受け、裏生地等は自己調達してプレタポルテを製造している事業の消費税上の事業区分が争われていた審査請求事案で、国税不服審判所は加工賃等を対価とする役務の提供を行う第四種事業であると判断、納税者の主張を棄却した。
 この事案は、得意先から無償支給される表生地と自ら調達した裏生地や芯地材、副資材を原材料としてプレタポルテ(ジャケット・スカート・ブラウス等)を製造し、簡易課税制度を選択していた事業者が第三種事業に該当すると判断して申告したことに対して、原処分庁が第四種事業に該当とすると認定して更正処分等をしたため、その取消しを求めていたというもの。つまり、納税者は、裏生地や芯地材もプレタポルテの主要な原材料であることから、第三種事業(製造業)に該当すると主張していたわけだ。
 これに対し審判所は、第三種事業に該当する製造業は産業分類上の製造業に該当し、かつ役務の提供を行う事業に該当しないことが要件となるのであり、設備や生産能力等の生産者機能や製品の付加価値等の多寡によって判断されるべきものではないと示唆した上で、事業区分の判断を行っている。しかし、裏生地や芯地材は表生地に付属するもので、プレタポルテの主要な原材料である表生地の持っている特性を増補・保管することにより衣服としての価値観、機能性を高めるものにすぎないと指摘。その結果、加工賃その他これに類する料金を対価とする役務の提供を行う事業、つまり第四種事業に該当すると判断して納税者の主張を棄却した。似たような事例も多く、モノを製造していることには変わらないという認識からすれば、納税者には不満の残る裁決例ともいえる。
(国税不服審判所、1997.5.30裁決)