病院会計準則の改正
第11回
   
著 者:成田礼子
掲載月:2004年10月
  


第11回 病院会計準則改正の解説(9)−金融商品会計


1.病院会計準則における金融商品会計の導入について

 従来の病院会計準則においても、有価証券について、時価の著しい下落があった場合には、いわゆる強制評価減が行われることになっています。企業会計においては、平成12年4月1日以降開始事業年度から金融商品会計が導入されています。金融商品の中には有価証券のみならず一般債権全体が含まれることになるため、より適切な財政状況を把握するために医療機関においても金融商品会計を導入することは異論がないと考えられます。



2.有価証券

(1)有価証券の区分

  有価証券については、売買目的有価証券、満期保有目的の債券、その他有価証券に区分し、次のように評価します。

(注)余裕資金等の運用として、その他の債券であって、長期保有の意思をもって取得した債券は、資金繰り等から長期的には売却の可能性が見込まれる債券であっても、満期保有目的の債券に含めるものとされています。

(2)有価証券の評価


(3)有価証券の減損処理

 満期保有目的の債券及びその他有価証券のうち市場価格のあるものについて時価が著しく下落したときは、回復する見込みがあると認められる場合を除き、時価をもって貸借対照表価額とし、評価差額は当期の費用として計上しなければなりません。


著しい下落:

(ア)

個々の銘柄の有価証券の時価が取得原価に比べて50%以上下落した場合


(イ)

個々の銘柄の有価証券の時価が取得原価に比べて30%〜50%下落した場合で、金額的重要性が高い場合

回復可能性の判断基準→

時価の下落が一時的なものであり、期末日後おおむね1年以内に時価が取得原価にほぼ近い水準まで回復する見込みのあることを合理的な根拠をもって予測できる場合は回復可能性があると判断されます。
また、時価が過去2年間にわたり著しく下落した状態にある場合や、発行会社が債務超過にある場合又は2期連続で損失を計上しており、翌期も損失が予測される場合は、回復可能性はないと判断されます。

3.貸倒引当金

 改正準則の貸借対照表原則注解の注13において引当金についての記載があります。ここでは、「将来の特定の費用又は損失であって、その発生が当期以前の事象に起因し、発生の可能性が高く、かつ、その金額を合理的に見積もることができる場合には、当期の負担に属する金額を当期の費用又は損失として引当金に繰入れ、当該引当金の残高を貸借対照表の負債の部又は資産の部に記載するものとする。」とのみ記載されており、貸倒の見積りを行うにあたって、金融商品会計の考え方をとるか否かの明確な規定はありません。しかし、金融商品会計の導入を有価証券についてのみ行うことは考えられませんので、金銭債権については債権の実質価額を算定するという理由から、これら債権を一般債権、貸倒懸念債権、破産更正債権等に分類し、この区分に応じた貸倒見積高を算定し、貸倒引当金の設定を行う必要があります。

(1)債権区分

 貸倒を見積もるにあたって債権を以下のように区分します。


(2)貸倒見積の算定方法