目からウロコのポートフォリオ設計塾
第4回
   
著 者:上地明徳
掲載月:2005年06月
  


第4回 ハーバードのポートフォリオ

 今回は、実際のポートフォリオ運用(分散投資)とはどのようなものなのかをご覧いただいて、皆様の資産運用に実際にお役立ていただこうというわけです。本日、ご紹介するポートフォリオは、米国東部の名門ハーバード大学。彼らの基金運用は、日本の大学のそれとはまったくイメージが異なります。運用資産が、なんと、2兆4000億円。ちょうど北朝鮮のGDPと同じ金額です。総勢170人のスタッフたちが、机の上に積み上げられたいくつものディスプレイに神経を尖らせて運用業務を行う有様は、まさに投資銀行そのものであり、とても大学の事務室とは思えません。

 ジャック・マイヤー氏率いるハーバード運用チームの上げた成績は、過去10年間の平均リターンが年率16%でした。といってもその運用は相場師的なものとはほど遠く、「明日の相場を当てるようなまね」はしません。人間の相場観は当たらない、いや、当たることはあるかもしれないが、それは偶然に過ぎないと考え、過去の統計データからある一定のリスクのもとでリターンを最大化する資産の組合せを計算して分散投資を行います。




 彼らの資産の内訳は、自分の国の株式や債券の占める比率は意外と大きくなく、絶対収益型投資(ヘッジファンド)、未公開株式、エマージング(新興市場国)株式、外国株式、不動産、商品、外国債券、インフレ連動債と多岐にわたっています。これから何が値上がりするか分からない、だから資産を十分なほどに多くの資産に分散して資産を運用しているのです。例えば、ロシア危機のような出来事が起ってエマージング諸国の株式や債券が大きなダメージを受けたとしても、先進国の債券や不動産、商品等、その影響を受けにくい資産を保有していることによってショックを和らげることが出来るのです。ご参考まで、現在彼らが有望視している資産は、「森林投資」だそうです。

 こうした高収益(米国大学基金の運用成績は、全体でも過去10年間の年率平均リターンが13%と非常に高い)の一方で、運用者の高額報酬が批判にさらされています。ハーバードの場合、二人の運用者に30億円の報酬が支払らわれ話題になりました。いくら明確な基準に基づく成功報酬とはいえ、成功すれば一生涯を遊んで暮らせる金額を手にできるとなると、「勝負」への誘引(勝てば生涯保証、負けても命を奪われるわけではない)が生まれかねません。日本でも100億円の成功報酬を受取った運用者が高額納税をきっかけにお茶の間の話題をさらいましたが、運用報酬制度の見直しも必要かもしれませんね。