平成24年度税制改正は、あっさり決定!-1
   
作成日:04/11/2012
提供元:マネーコンシェルジュ税理士法人
  


■なぜかほとんど報道されませんが・・・

平成24年度(2012年度)税制改正関連法案が、先週の金曜日である3月30日に、国会にて可決成立しました。

昨年の税制改正のゴタゴタを振り返ると、なんともアッサリ決着した感があります。

というのも実はからくりがありまして、与野党で意見が分かれそうな項目はそもそもこの平成24年度税制改正事項から外されていたのです。

例えば、消費税の税率上げや高額所得者課税、相続税の基礎控除縮小などです。

上記どちらかというと税制の抜本的な改正となるであろう大項目については、「税と社会保障の一体改革」という位置づけで、「社会保障の安定財源の確保等を図る税制の抜本的な改革を行うための消費税法等の一部を改正する等の法律案」として、同日である3月30日に国会に提出されました。

こちらの改正事項は、まさにこれから国会で議論が始まるであろうところですので、現時点では当然何も決定していません。
あくまで、「法律案」です。


■内容は薄そうで厚い?

では、冒頭の平成24年度税制改正は、皆さんに影響のないような事項ばかりなのかというと、実はそうでもありません。

例年に比べるとかなり小粒であった感は否めませんが、
・会社経営者や個人事業者に影響のある項目
・資産家に影響のある項目
・サラリーマンを含めた皆に影響のある項目
とありますので、税制改正大綱に基づいて、以下主要な項目をご紹介します。


■会社経営者や個人事業者に影響のある項目

○源泉徴収に係る所得税の納期に関する特例

源泉徴収に係る所得税の納期に関する特例について、次の措置を講じます。

源泉徴収に係る所得税の納期の特例について、7月から12月までの間に支払った給与等及び退職手当等につき徴収した所得税の納期限を翌年1月20日(現行:翌年1月10日)とします。

(注)上記の改正は、平成24年7月1日以後に支払うべき給与等及び退職手当等について適用します。

○環境関連投資促進税制

環境関連投資促進税制について、対象資産のうち太陽光発電設備及び風力発電設備を電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法の認定設備で一定の規模以上のものに限定した上、平成24年4月1日から平成25年3月31日までの間にその設備の取得等をし、その事業の用に供した場合には、普通償却限度額との合計で取得価額まで特別償却ができることとします(所得税についても同様)。


■資産家に影響のある項目

○特定の居住用財産の買換え及び交換の場合の長期譲渡所得の課税の特例

特定の居住用財産の買換え及び交換の場合の長期譲渡所得の課税の特例について、譲渡資産の譲渡対価に係る要件を1.5億円(現行:2億円)に引き下げた上、その適用期限を2年延長します。

(注)上記の改正は、平成24年1月1日以後に行う居住用財産の譲渡について適用します。

○直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税措置

直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税措置について、次の措置を講じます。

イ 非課税限度額(現行1,000万円)を次のとおりとします。

(イ)省エネルギー性・耐震性を備えた良質な住宅用家屋の場合

(a)平成24年中に住宅取得等資金の贈与を受けた者 1,500万円
(b)平成25年中に住宅取得等資金の贈与を受けた者 1,200万円
(c)平成26年中に住宅取得等資金の贈与を受けた者 1,000万円

なお、東日本大震災により住宅用家屋が滅失等をした者(その住宅用家屋が原発警戒区域内に所在する者を含みます。以下「東日本大震災の被災者」といいます。)については、非課税限度額を1,500万円とします。

(ロ)上記(イ)以外の住宅用家屋の場合

(a)平成24年中に住宅取得等資金の贈与を受けた者 1,000万円
(b)平成25年中に住宅取得等資金の贈与を受けた者   700万円
(c)平成26年中に住宅取得等資金の贈与を受けた者   500万円

なお、東日本大震災の被災者については、非課税限度額を1,000万円とします。

ロ 適用対象となる住宅用家屋の床面積については、東日本大震災の被災者を除き、240平方メートル以下とします。

ハ 適用期限を平成26年12月31日までとします。

(注)上記の改正は、平成24年1月1日以後に贈与により取得する住宅取得等資金に係る贈与税について適用します。


次回に続きます。