消費税の改正が3本入っています パート1
   
作成日:05/02/2012
提供元:マネーコンシェルジュ税理士法人
  


■実は・・・な話

実は、昨年の平成23年6月に消費税法が改正されました。

新聞報道等ではいつ消費税が増税されるのかや、そもそも増税されるのか等という話題ばかりですが、増税ウンヌン以外の事項として、今年の平成24年4月から順次消費税改正が実施されています。

事業をされている方(個人事業の方も会社組織の方も)や、会社の経理担当者等には影響が大きいものと思われますので、今回は消費税の改正についてお伝えします。


■消費税の改正、3本

消費税改正の柱は大きく3本です。

1.事業者免税点制度の適用要件が見直されました。

当課税期間の基準期間における課税売上高が1,000万円以下であっても、当課税期間の前年の1月1日(法人の場合は前事業年度開始の日)から6か月間の課税売上高が1,000万円を超えた場合、当課税期間においては課税事業者となります。

なお、課税売上高に代えて、給与等支払額の合計額により判定することもできます。

【適用開始時期】
平成25年1月1日以後に開始する年又は事業年度から適用されます。
※6か月間の判定期間(特定期間)は平成24年1月1日から始まります。

2.仕入税額控除制度における「95%ルール」の適用要件が見直されました。

当課税期間の課税売上高が5億円を超える場合には、個別対応方式又は一括比例配分方式のいずれかの方法により仕入控除税額の計算を行うこととされました。

【適用開始時期】
平成24年4月1日以後に開始する課税期間から適用されます。

3.還付申告書への「明細書」の添付が義務化されました。

【適用開始時期】
平成24年4月1日以後に提出する還付申告書から適用されます。


■事業者免税点制度の適用要件の見直し(過去の経緯)

以前では、大まかには、2年前の売上高が1,000万円以下か超かで、当期の消費税の納税義務が決められていました。

しかしこれでは、例えば、大手企業の子会社が設立された場合、設立1年目から何百億円と売り上げがあるにもかかわらず、消費税の納税義務なしとなって、多額の益税が発生していました。

これを防止するために、平成9年改正において、「資本金1,000万円以上の新設法人については、基準期間のない課税期間(設立当初の2年間)について、納税義務を免除しない」とされました。

しかしこれでも、資本金1,000万円未満で会社をつくれば、抜け穴となってしまいますし、大手企業も含めて実際そのように実務もなされているケースが多々ありました。

そこで、今回の改正となったのです。


■前年半年基準を採用

改正の内容は、「当課税期間の基準期間における課税売上高が1,000万円以下であっても、特定期間の課税売上高が1,000万円を超えた場合には、当課税期間においては課税事業者となる(課税売上高に代えて給与等支払額の合計額により判定することも可)」です。

ここで基準期間における課税売上高とは、大まかには、2年前の売上高のことです。

また、特定期間とは次の期間をいいます。

個人事業者の場合・・・その年の前年の1月1日から6月30日までの期間
法人の場合・・・原則として、その事業年度の前事業年度開始の日以後6か月間

つまり、平成25年1月1日以後に開始する年又は事業年度からは、今までの「2年前基準」で消費税の免税事業者と思っても、更に「前年半年基準」もクリアーしないと消費税を納めないといけないということです。

ただし、上記にもあるように、売上高だけではなく、「給与等支払額の合計額により判定することも可」とのことですので、中小企業では特にこの部分は有効に活用できるのではないかと思います。

ちなみに、給与等支払額とは、特定期間中に支払った所得税の課税対象とされる給与、賞与等の合計額で、未払給与等は対象となりません。

支払明細書の控えや源泉徴収簿から所得税の課税対象とされるものを合計して算出することになりますので、非課税の範囲内の通勤交通費なども除外となります。

事業者免税点制度の適用要件の見直しについて、詳しくはこちらをご覧下さい。
http://www.nta.go.jp/shiraberu/ippanjoho/pamph/shohi/kaisei/pdf/h2309kaisei.pdf
http://www.nta.go.jp/shiraberu/ippanjoho/pamph/shohi/kaisei/teisei.htm


次回に続きます。