相続税の増税がジワリと
   
作成日:06/11/2012
提供元:マネーコンシェルジュ税理士法人
  


■国税庁から発表がありました

国税庁より、「平成22年分の相続税の申告状況について」と題するプレスリリースがあり、平成22年中(平成22年1月1日から平成22年12月31日)に亡くなられた人から、相続や遺贈などにより財産を受け取った人に係る申告事績は以下の通りだそうです。

(注)相続税額のある申告書で、平成23年10月31日までに提出されたもの及び震災特例法により申告期限が延長され平成24年1月11日までに提出されたものが集計されています。

1.被相続人数

被相続人数(死亡者数)は約120万人(前年約114万人)、このうち相続税の課税対象となった被相続人数は約5万人(前年約4万6千人)で、課税割合は4.2%(前年4.1%)となっており、前年より0.1ポイント上昇しました。

2.課税価格

課税価格は10兆4,470億円(前年10兆1,072億円)で、被相続人1人当たりでは2億1,006万円(前年2億1,765万円)となっています。

3.税額

税額は1兆1,754億円(前年1兆1,618億円)で、被相続人1人当たりでは2,363万円(前年2,502万円)となっています。

4.相続財産の金額の構成比

相続財産の金額の構成比は、土地48.4%(前年49.7%)、現金・預貯金等23.2%(前年22.3%)、有価証券12.1%(前年12.0%)の順となっています。

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「平成22年分の相続税の申告の状況について」国税庁

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■被相続人数は今後ますます増える

平成22年中に亡くなられた方は約120万人となっていて、平成21年より約6万人増加しています。

しかし、10年前の平成12年では被相続人数は約96万人で、平成23年の被相続人数は約126万人となっていて、実は被相続人数=死亡者数は、この10年で約30万人も増加しているのです。

更には、国立社会保障・人口問題研究所の推計によると、この先30年後の平成53年(2041年)では被相続人数=死亡者数が約166万人となっていて、更に現在より40万人増加します。

葬儀屋さん、信託銀行さん、税理士さん、FPさん、不動産屋さん等と昨今、相続を取り巻く業界の方々がアレヤコレヤと営業攻勢をかけているのには、それなりの算段があってのことなのです。

(営業攻勢はありませんが)当事務所でも相続手続きや相続税申告書作成のお手伝いをさせて頂いています。
http://www.money-c.com/gyoumu/souzoku.htm
ご参考まで。

被相続人数=死亡者数の実績値及び推計値(単位:千人)

平成12年   962
平成13年   970
平成14年   982
平成15年 1,015
平成16年 1,029
平成17年 1,084
平成18年 1,084
平成19年 1,108
平成20年 1,142
平成21年 1,142
平成22年 1,197
平成23年 1,261(推計値)
(ここまで厚生労働省の資料より)

平成24年 1,232
平成25年 1,258
平成26年 1,285
平成27年 1,311
平成28年 1,337
平成29年 1,363
平成30年 1,388

平成40年 1,584

平成50年 1,668

平成53年 1,667

平成60年 1,612

平成70年 1,540
(国立社会保障・人口問題研究所の資料より、すべて推計値)


■相続税の増税の影響がジワリと

冒頭の国税庁発表の資料をみると、課税価格及び税額ともに増加しています。

相続財産の半分を占める土地の路線価が下がっていることを考えると、なぜ税金が増えているのかと疑問に感じるところです。

これは多分、隠れた相続税増税といわれた平成22年改正における「小規模宅地の評価減特例における厳格化措置」が影響しているものと思われます。

更には、今話題の「社会保障と税の一体改革」においては、相続税の基礎控除の4割削減等がうたわれています(これは現在未決定)。

相続税については、今後ますますその動向が見逃せません。
また改正情報などがありましたら、このコラムでお伝えしていきますね。