消費税の改正が3本入っています パート3
   
作成日:05/21/2012
提供元:マネーコンシェルジュ税理士法人
  


前回からの続きです。


■売上が5億円を超えない限り関係なし

チョットというかダイブわかりにくいかもしれませんが、まずは、自社の当期の課税売上高が5億円を超えない限りは関係のない改正項目とお考え下さい。

次に、対象となる5億円超の会社又は個人事業者(想定売上30億円規模)での影響ですが、一般論としては支払う消費税が年間数十万円増える増税改正となります。

これは、今まで課税仕入れ等に係る消費税額の全額を支払う消費税額から控除できていたのが、今回の改正により一部制限がかかるからです。

その時の計算方法に、個別対応方式と一括比例配分方式というのがあり、手間がかかるのは個別対応方式ですが、その分ほとんどのケースで支払う消費税額が一括比例配分方式より少なくなります。


■では自社では最大どれくらいの増税となるのか(目安)

あくまで目安ですが、課税売上割合が95%以上で課税売上が5億円超の事業者において、実際に最大値としてどれくらい増税となるのかという試算方法を伝授します。

1.前期の消費税申告書の2枚目にある「付表2」を見て下さい。

2.その「付表2」の⑦欄の下にある「課税売上割合(④/⑦)」を見て下さい。

3.同様に「付表2」の⑬欄にある「課税売上割合が95%以上の場合(⑫の金額)」を見てください。

4.3×1.25×(100%-2)

※1.25しているのは、地方消費税分を加算しているためです。

※当期において土地の譲渡や有価証券の譲渡など非課税売上が一時的に大きく変動する場合はこの限りではありませんので、ご注意下さい。

この4で計算された金額が、この95%ルールの見直しによる御社にとっての最大増税影響額の目安となります。

実際には、個別対応方式で計算して、課税売上に対応する課税仕入等の割合が高い場合等では、増税額はこれよりかなり少なくなります。


■95%ルール見直しの留意点

この改正事項には、いくつかの留意点があります。

まずは、課税売上高が5億円超かどうかは、先述した事業者免税点制度等の中小事業者向け特例措置のように「基準期間における課税売上高」により判定するのではなく、あくまで「仕入控除税額を計算する対象期間となる課税期間における課税売上高」により判定する点です。

2年前ではなく「当期判定」なので、例えば、毎年5億円前後の売上のある事業者では、最終的には決算にならないと今回の改正が影響するのかどうかがわからないということになります。

また、これは2つ目の留意点でもあるのですが、対象となる(又はなるであろう)事業者は、事前準備が必要です。

具体的には、会計ソフトにおいて、「科目ごとによる消費税設定」又は、「部門ごとの消費税設定」などが必要となるでしょう(上記の5億円前後の売上の会社も対象年度の期首からしておいたほうがいいでしょう)。

一括比例配分方式で計算するのであれば、このような事務作業はほとんど不要となるのですが、先述したようにほとんどのケースで個別対応方式のほうが税額が低くなるのでこちらをおススメします。


次回に続きます。