復興特別所得税・法人税等の税制改正大綱-2
   
作成日:11/11/2011
提供元:マネーコンシェルジュ税理士法人
  


前回からの続きです。


■給与所得控除の上限設定、成年扶養控除の見直しなど

では次に、新大綱の2番目の柱である「平成23年度税制改正法案による財源の確保及び所要の修正」についてです。

・個人所得課税の所得控除の見直しについて,「給与所得控除の上限設定」及び「成年扶養控除の見直し」に係る源泉徴収の適用開始時期を、平成24年1月1日から平成24年7月1日に変更する。

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これは特に高年収の方に大きな増税になるでしょう。

また注意しないといけないのは、実施時期です。
上記では7月1日と書いていますが、よく見ると「源泉徴収の」という文言が入っています。

つまり、源泉徴収だけが1月では間に合わないだろうから7月にしているだけで、実際の増税実施時期は平成24年1月1日以後の給与、と当初の旧大綱どおりとなっていますのでご注意ください。

また、新大綱には明確に書かれていませんが、「役員給与等に係る給与所得控除の見直し」や、「特定支出控除の見直し」、「勤続年数5年以下の役員退職金について課税対象を2分の1とする措置の廃止」などもこの中に含まれているものと思われます。


■法人税の減税

・法人税率の引下げ,中小企業者の軽減税率の引下げについて、施行時期を平成23年4月1日以後開始する事業年度から平成24年4月1日以後開始する事業年度に変更する。

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前回説明した復興特別法人税は、実はこの減税措置とセットで実施されることが予定されています。

では、トータルで増税となるのか減税となるのかというと、これは減税となります。

現在の法人税等の実効税率が40.69%ですが、これがこの減税措置だけだと35.64%と約5%下がるのですが、復興増税が当面実施される予定ですので、それを加味すると、38.01%が平成24年4月1日から平成27年3月31日までの間に開始する事業年度の法人税等の実効税率となります。


■相続税の増税

・相続税の基礎控除の引下げ及び税率構造等の見直しについて,施行時期を平成23年4月1日から平成24年1月1日に,贈与税の税率構造の緩和及び相続時精算課税の対象の拡大について,施行時期を平成23年1月1日から平成24年1月1日に,それぞれ変更する。

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旧大綱における目玉項目の一つがこの相続税の増税でした。
実施時期が1年遅くなりましたが、今から考えると約2ケ月後の実施ですので、近々影響が予定される項目となります。

主な内容は「相続税の基礎控除の引下げ」及び「税率構造の見直し」です。

相続税の基礎控除の引下げでは、「定額控除5,000万円+比例控除1,000万円×法定相続人数」から「定額控除3,000万円+比例控除600万円×法定相続人数」へと基礎控除が4割引き下げられる予定です。

また、相続税の最高税率を50%から55%に引き上げる予定となっています。

しかし、実は相続税は増税なのですが、贈与税には減税措置も含まれています。

暦年課税贈与について、直系卑属(20歳以上)を受贈者とする場合の贈与税の税率構造が緩和される予定です。

また、相続時精算課税贈与について、受贈者に20歳以上の孫を追加するとともに、贈与者の年齢要件を「65歳以上」から「60歳以上」に引き下げられる予定です。

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東日本大震災からの復興のための事業及びB型肝炎対策の財源等に係る税制改正大綱」(7P)

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