小宅など相続税の減税措置アレコレ(平成25年度税制改正)
   
作成日:02/21/2013
提供元:マネーコンシェルジュ税理士法人
  


■小規模宅地の大改正

1月末に「平成25年度税制改正大綱」が発表されました。

あまり報道などはされていませんが、実はこの大綱では、いくつかの相続税がらみの減税措置も明記されています。

例えば、自宅などに優遇措置が受けられる次の小規模宅地関係です。

小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例について、次の見直しを行う。
1.特定居住用宅地等に係る特例の適用対象面積を330平米(現行240平米)まで拡充する。

→小規模宅地特例が適用できると、自宅等の財産評価が8割減の2割評価に激減することになりますので、この特例をうまく使うことが節税対策では重要となります。
そして今回の改正では、この限度面積が240平米から330平米に拡大されるとなっているのです。

2.特例の対象として選択する宅地等の全てが特定事業用等宅地等及び特定居住用宅地等である場合には、それぞれの適用対象面積まで適用可能とする。なお、貸付事業用宅地等を選択する場合における適用対象面積の計算については、現行どおり、調整を行うこととする。

→これによって、自宅330平米+事業用土地400平米=最大730平米の土地の評価が8割減の2割評価になります。


■二世帯住宅や老人ホームもOK?

更には、以下のような改正も予定されています。

3.一棟の二世帯住宅で構造上区分のあるものについて、被相続人及びその親族が各独立部分に居住していた場合には、その親族が相続又は遺贈により取得したその敷地の用に供されていた宅地等のうち、被相続人及びその親族が居住していた部分に対応する部分を特例の対象とする。

→この改正により、原則、2世帯住宅であれば、構造上の区分があってもそれが上下であろうが左右であろうが、小規模宅地特例に該当することになりそうです。
これは、実務に即した隠れた大改正といえます。

4.老人ホームに入所したことにより被相続人の居住の用に供されなくなった家屋の敷地の用に供されていた宅地等は、次の要件が満たされる場合に限り、相続の開始の直前において被相続人の居住の用に供されていたものとして特例を適用する。
(1)被相続人に介護が必要なため入所したものであること。
(2)その家屋が貸付け等の用途に供されていないこと。

→従来老人ホームに入所すると、特別養護老人ホームでない限り、小規模宅地特例の適用が難しかったのですが、今後は上記の要件を満たすように配慮しておくと対象となる可能性が出てきます。
これも同様、実務に即した隠れた大改正といえます。

(注)上記1及び2の改正は平成27年1月1日以後の相続について、上記3及び4の改正は平成26年1月1日以後の相続について適用予定


■未成年者控除及び障害者控除関係

未成年者控除及び障害者控除関係について、次のとおり引き上げる。

1.未成年者控除
現行「20歳までの1年につき6万円」から「20歳までの1年につき10万円」に引き上げる。

2.障害者控除
現行「85歳までの1年につき6万円(特別障害者については12万円)」から「85歳までの1年につき10万円(特別障害者については20万円)」に引き上げる。

(注)上記の改正は、平成27年1月1日以後の相続について適用予定


■贈与関係

贈与関係についての減税措置が以下となります。

1.20歳以上の者が直系尊属から贈与を受けた場合の軽減新贈与税率表を新設
2.相続時精算課税贈与の要件緩和
3.教育資金贈与の1,500万円非課税制度を新設

→1、2の改正については平成27年1月1日以後の贈与について適用予定

→3については前回のコラム参照、相続税の大型節税対策が可能となっています。

(注)今回の内容は、国会を通過するまでは正式な決定事項ではありません。今後の動向によって、内容が変更になる可能性がありますのでご注意下さい。