消費税の改正が3本入っています パート4
   
作成日:06/01/2012
提供元:マネーコンシェルジュ税理士法人
  


前回からの続きです。


■一括比例配分方式を選択してしまうと思わぬ増税に・・・

また、3つ目の留意点としては、一括比例配分方式には2年縛りがあるということです。

一括比例配分方式を適用した事業者は、この計算方法を適用した課税期間の初日から同日以後2年を経過する日までの間に開始する各課税期間において、継続してこの一括比例配分方式を適用しなければならないこととされています。

一括比例配分方式を2年間以上継続して適用(各課税期間が1年で前々課税期間にも一括比例配分方式を適用)している場合は、当課税期間の申告を個別対応方式により行うことは可能です。

ということは、例えば、たまたま土地の譲渡があった場合など多額の非課税売上が発生したケースでは、思わぬ消費税負担となりかねません(課税売上割合に準ずる割合は個別対応方式でのみ適用可能)。

こういった点からも、安易に事務作業が楽だ等の理由で一括比例配分方式を選択するのはやめておいたほうがいいでしょう。


■事後的な変更もダメ

また4つ目の留意点として、この個別対応方式又は一括比例配分方式については、事後的な変更が認められないことになっています。

つまり、一括比例配分方式により仕入控除税額を計算し申告した後において、個別対応方式による方が納付すべき税額が少なくなることに気付いたことから、仕入控除税額の計算方法を一括比例配分方式から個別対応方式へ変更することを理由に「更正の請求」を行いたいと考えても、それは認められないということです。

その理由は、その申告書に記載した課税標準等若しくは税額等の計算が「国税に関する法律の規定に従っていなかったこと」又は「その計算に誤りがあったこと」のいずれにも該当しないからです。

少し面倒でも、基本は個別対応方式と一括比例配分方式を両方計算して、有利な方を選択する(ほとんどが個別になる)というのがベターでしょう。


■消費税還付申告書への添付義務化

平成24年4月1日以後、控除不足還付税額のある還付申告書を提出する場合、「消費税の還付申告に関する明細書」を添付しなければならないこととされました。

「消費税の還付申告に関する明細書」はこれまでもありましたが、今までの「仕入控除税額に関する明細書」の記載事項に加えて、課税資産の譲渡や輸出取引に係る項目等について記載することとされています。

新様式及び記載要領等につきましては、以下となります。

(個人用)
http://www.nta.go.jp/tetsuzuki/shinsei/annai/shohi/shinkoku/itiran/pdf/01.pdf
http://www.nta.go.jp/tetsuzuki/shinsei/annai/shohi/shinkoku/itiran/pdf/02.pdf
http://www.nta.go.jp/tetsuzuki/shinsei/annai/shohi/shinkoku/itiran/pdf/03.pdf

(法人用)
http://www.nta.go.jp/tetsuzuki/shinsei/annai/shohi/shinkoku/itiran/pdf/04.pdf
http://www.nta.go.jp/tetsuzuki/shinsei/annai/shohi/shinkoku/itiran/pdf/05.pdf
http://www.nta.go.jp/tetsuzuki/shinsei/annai/shohi/shinkoku/itiran/pdf/06.pdf

また、控除不足還付税額がない申告書、具体的には、中間納付還付税額のみの還付申告書には添付する必要がありませんのでご注意下さい。

この消費税還付申告書への添付義務化の改正事項は、実務で既に我々も実施しています。

この改正の理由は、不正な消費税還付事例が多発したことによるものと思われます。