震災復興減税とは?パート2
   
作成日:10/11/2011
提供元:マネーコンシェルジュ税理士法人
  


前回からの続きです。


■対象期間と規模

この震災復興減税の対象期間ですが、今のところの政府案としては、政府の基本方針で定めた「復興期間=5-10年」を軸に調整中とのことです。

またこれらの減税規模ですが、全体で年間数百億~1,000億円超となる見通しです。

今後の段取りとしては、近日中に政府税制調査会を開いて政府案を正式にまとめて、その後、与野党調整を踏まえて、関連法案を10月の臨時国会に提出するようです。

被災地にことを考えると、早急な施行実施が望まれますね。


■特区税制が目玉

震災復興減税の項目は多岐にわたっているのですが、その中でも目玉項目といえるのは、「特区税制」でしょう。

特区税制の適用を受けるには、「復興特別区域内に事業所を置くこと」が条件となるようです(本店所在地はどこでも構わない)。

復興特別区域=復興特区とは、東日本大震災からの復興を促進するため、被災地に設ける特別区域のことで、被災自治体のほぼすべてが対象とされています。

そしてこの特区税制では主に以下の2点(雇用創出と設備投資促進)の減税措置の適用が受けられます。

・被災で失業した人を雇用した企業は人件費の10%を税額控除(税額全体の20%が上限)

・設備投資の即時償却(100%)か、投資額の15%の税額控除


■人件費の10%税額控除

厚生労働省の調査によると、震災の影響による失業者の数は、岩手県・宮城県・福島県の3県のみでも少なくとも7万人にのぼるそうです。

そこで、企業が震災で被災した失業者をより雇いやすいようにと、「人件費10%税額控除制度」の導入が検討されています。

具体的には、企業が震災で失業した人を雇うと、人件費の10%を法人税額から控除できるようです(地方税にも減税措置の影響があるのかどうかは現時点では不明)。

ただし減税額の上限が設けられていて、法人税額全体の20%とされています。

(注)この震災復興減税は未だ決定事項はありませんので、ご注意ください。


■設備投資の即時償却

また、雇用創出以外にも、特区への投資呼び込み策として、「設備投資の即時償却又は15%の税額控除制度」の導入も検討されています。

具体的には、企業が特区内で一定の設備投資を行った場合に、設備投資額全額の費用化、つまり100%即時償却か、設備投資額の15%を上記の「人件費10%税額控除制度」のように法人税額から控除するかの、選択ができるようになるようです。

現在でも似たような投資に対する税額控除制度はあるのですが、対象となる設備投資の種類や業種等が限定されていますので、今回の特区税制ではそのあたりがどうなるのか、今後の動向に要注目です。