(初公表)平成23年贈与税調査の状況は?
   
作成日:12/11/2012
提供元:マネーコンシェルジュ税理士法人
  


■初公表、平成23年贈与税調査の状況は?

前回は、平成23年事務年度(平成23年7月から平成24年6月まで)に実施した相続税の実地調査の状況について、国税庁発表の資料より紹介しました。

実は、今年から、この相続税調査状況の公表に合わせて、贈与税の調査状況についても公表されることになりました(公表されなかっただけで、集計作業は以前より内部でなされていたようです)。
 
 
国税庁では、相続税の補完税である贈与税の適正な課税を実現するため、積極的に資料情報を収集するとともに、相続税調査等、あらゆる機会を通じて財産移転の把握に努めており、無申告事案を中心に、本事務年度も積極的に贈与税の調査を実施します。
 
 
 
 
「平成23事務年度における相続税の調査の状況について」国税庁


■調査件数は昨年比16%増

まずは、贈与税の実地調査件数ですが、平成22事務年度が4,881件であったのに対し、平成23事務年度は5,671件と昨対比116.2%増となっています。

また、申告漏れ等の非違件数も、平成22事務年度が4,554件で、平成23事務年度は5,331件と昨年比117.1%の増加です。

一方、申告漏れの課税価格は280億円(平成22事務年度285億円)、追徴税額は79億円(平成22事務年度92億円)となっています。

これらを実地調査1件当たりに直すと、申告漏れ課税価格で494万円/件(平成22事務年度584万円)、追徴税額で140万円/件(平成22事務年度188万円)となります。

他にも、申告漏れ財産の内訳も公表されていて、一番多いのは現預金で約177億円(63.3%)、次に多いのは有価証券約25億円(8.8%)、土地約22億円(7.9%)、家屋約3億円(1.2%)と続きます。


■申告者ではなく無申告者が調査対象のキー

更には、贈与税調査状況の特徴でもあるのですが、上記の申告漏れ等の非違件数の内で、無申告事案がなんとびっくり82.3%にも上っているのです。

贈与税調査を実施すると、およそ8割が無申告事案ということです。

つまり、贈与税調査の要は、申告者を対象にするのではなくて、いかに無申告の人を見つけるかということになります。

そこで、国税庁では、あらゆる機会を通じて把握した生前の資産保有・移動状況に関する情報を蓄積・活用するなどして、贈与税の無申告事案の積極的な調査に努めているようです。

これには、過去の申告書、各種法定調書資料や税務署からのお尋ね、登記情報などが贈与税調査の事前資料として活用されているのでしょう。