脂肪税とは?Byデンマーク
   
作成日:10/21/2011
提供元:マネーコンシェルジュ税理士法人
  


■バターなどに「脂肪税」

前々回にこのコラムで、ハンガリーで新たに導入された塩分や糖分が高い食品に課税する、いわゆる「ポテトチップス税=ポテチ税」というのをご紹介しました。

このポテチ税は、税収としては毎年7,400万ユーロ(約81億円)と少ないのですが、「国民の肥満防止」という目的もあり導入されました。

この度、デンマークにて、ポテチ税と同様に国民の健康を願っての増税が実施されました。

日経新聞2011.10.3
 
デンマーク、バターなどに「脂肪税」 健康増進狙う


デンマーク政府は国民の平均寿命を延ばすため、バターなどの動物性脂肪に多く含まれる飽和脂肪酸を一定以上含む食品に対する課税を1日から開始した。
英メディアなどが2日までに伝えた。
英BBC放送は、脂肪への課税は世界で初とみられると伝えた。

飽和脂肪酸を多く摂取すると、動脈硬化などを引き起こす悪玉コレステロールが増加するとされている。
課税によって肥満の原因となる食品の消費を減らすことで、国民の健康を守る狙いがある。

英メディアなどによると、2.3%以上の飽和脂肪を含むバター、チーズ、加工食品などが課税対象で、飽和脂肪1キロあたり16クローネ(約220円)の税金がかかる。

課税によって、約22億クローネ(約300億円)の税収が見込まれており、バターの消費量は約15%減少するとみられている。
 
 

■目的は、国民の平均寿命を延ばすため

デンマークも加盟する経済協力開発機構(OECD)の平均寿命は78歳だそうで、一方、デンマークではそれをここ数年下回っています。

(注)OECDの加盟国は現在34ケ国で、ヨーロッパの国々やアメリカ、日本、韓国等が加盟しています。

デンマークのヤコブ・ニールセン保健・予防相は、世界初とされる「脂肪税」の導入について、「砂糖、脂肪、たばこに高い課税をすることは平均寿命を延ばすため、重要な施策の一つだ」と述べています。

そしてこの先10年のデンマークの平均寿命を3歳延ばすことが目標値だそうです。


■どれくらい増税?

まず増税の対象となるのは、新聞記事にあるように「2.3%以上の飽和脂肪を含むバター、チーズ、加工食品」ですが、他にも、「牛乳、ピザ、肉、ビスケット」なども対象となるようです。

また、飽和脂肪1キロあたり16クローネ(約220円)の増税ということですが、具体的には、ハンバーガーで1個約10円、バターは約25円の値上がりとなっているようです。

また、デンマーク当局の試算では、1家庭(両親と子供2人)当たり年間1,000クローネ(13,600円)の増税になると推定されています。

ここ日本でも、たばこ税の増税がささやかれていますが、こういった動きは先進国共通のようですね。