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税金の滞納を考えるパート2
作成日:
04/11/2007
提供元:
今村仁税理士事務所
前回からの続きです。
■しがらみ
不納得のままでもいけないので、なぜ特に市区町村で滞納対策がすすまないのかを考えてみます。
まずは、市区町村に住んでいる人が市区町村役場に勤めているため、差押えなどの強硬手段をとりづらいという事情があるようです。
つまり地元でのしがらみが徴収に遠慮をうんでいるようです。
東京都を見た場合、ここ数年で地方税の徴収率は飛躍的に回復しましたが、市区町村に徴収を委託する個人都民税は2002年度の滞納率が10%を上回り、滞納額は400億円を超えました。
これは、都道府県に比べて市区町村では、徴収技術つまり滞納者への徴収の仕方などのノウハウや技術レベルが低い、ということです。
さらにはそもそも滞納自体を減らすことを考えると、より税金を納めやすくすることも大事であるでしょう。
■茨城県は、こうした
茨城県では、県内の市区町村に代わって、滞納者から税金を取り立てる「茨城租税債権管理機構」を2001年4月に発足しました。
ここでは、地元とのしがらみを絶つために、そこに住む住民以外の人が滞納処理にあたるようになっています。
さらには、政治家の後援者や地元の有力者からの圧力を回避するために、顧問に国税庁や警察のOB、弁護士らを招きいれています。
結果は、発足からの3年間で、茨城県内の市区町村が処理できずに預かった滞納事案2300件以上を処理して、20億円弱を徴収しました。
なかなかですね、良い感じです。
■東京都は、こうした
東京都では、2004年4月から35人のスタッフを要する「対策室」を発足しました。
この対策室では、市区町村の要望に応じてスタッフを市区町村に派遣します。
そして、差押えが可能な銀行口座の発見方法や複雑に入り組んだ抵当権への対処法など滞納整理のノウハウを伝授してくれます。
さらに東京都では、滞納者から差押えた物品をヤフーと組んでインターネット公売しました。
ちなみにこのネット公売には、3000人弱が参加しアクセス者数が45万人にのぼったようです。
これは他の自治体にも朗報ですね。
■他にもこんなに工夫しています
静岡県浜松市では、ブラジル人が多いということで、ポルトガル語での納税相談を実施しました。
栃木県宇都宮市は、市民税や固定資産税などの口座振替に切り替えた市民に、市内の民間バス会社の共通バスカードなどをプレゼントしています。
1年間で1万7200人が口座振替に切り替えました。
「納税者の払い忘れもないし、こちらも督促状を作る必要もない。十分元は取れる」(市主税課)。
大阪府寝屋川市では、軽自動車税をコンビニで納められるようにしました。
自動車税は納税者が多い割に納税額が比較的少なく、徴税コストが多くかかっていました。
それを深夜でも払えるようにして、滞納者自体を減らす考えです。
栃木県那須町は、東京都日本橋に東京事務所を開設しました。
これは、同町内に別荘を持ちながら、固定資産税を払わない首都圏のオーナーから取り立てるためです。
良いんじゃー、ないですか。
■税の公平
でも全国を見渡すと、徴収率の向上に力を入れている市区町村はまだまだ少ないのが現実です。
このような成功事例が蓄積されて、市区町村独自の徴収方法が多数でてくればさらにいいのになぁと思います。
市区町村役場で地方税の徴収や滞納処理を担当している方は、「税の公平」というとても意義のある仕事をしていることを忘れないで下さいね。
■税金滞納者を公表するサイト
日本と違って、「税の公平」をより重視するアメリカでは、税金を滞納する人にとても厳しいです。
13以上の州が、税金滞納者の氏名をホームページ上に公開しています。
当然、誰でも見ることができます。
「ねらいは、人々に恥ずかしい思いをさせることだ」とは、サウスカロライナ州歳入局のコメントです。
つまり、滞納額を隣人や親戚に知られるかもしれないとなれば、当然ながら気まずい思いをするだろう、という考えです。
実際これは、大きな成果を上げています。
ジョージア州では、滞納者リストのホームページ公開後、2ヶ月で120万ドル(約1億3000万円)の徴収に成功しました。
しかも徴収するためのコストは、ほとんどかかっていません。
アメリカでは、羞恥心に訴えるというやり方を、今までにも行ってきました。
インターネット普及前までは、滞納者の氏名を町の広場に提示したり、新聞に掲載したりしていました。
ちなみにインターネットで公表されるのは、数回にわたる督促を受けながら相談にも来ず、無視した人に限られています。
ですから1回滞納したぐらいでは、公表されません。
ホームページでの公表の是非はともかくとして、アメリカでは、税金を公平に徴収することに知恵を出し努力をしているところがすばらしいと思います。
■税金を払う人・もらう人
今までみてきたようにアメリカや日本の極一部の自治体は、税金を徴収することや滞納対策に、努力や工夫、知恵を出しています。
そうすると例えば、町に多くの植樹がおこなわれたり、公園ができたり、ごみ処理にお金がかけられることになります。
そしてそこに住む人は、より多くの行政サービスを受けられることでしょう。
つまり、滞納者に厳しい自治体に住む人は、「税金をもらう人」。
過去のしがらみを絶てず滞納者に優しい自治体に住む人は、「税金を払う人」。