消費税の改正が3本入っています パート2
   
作成日:05/11/2012
提供元:マネーコンシェルジュ税理士法人
  


前回からの続きです。

■こんな会社又は個人事業者は今後要注意ですよ

こんな会社又は個人事業者の方は、今後この消費税改正に特に注意して下さい。

1つ目は、「売上急増中の会社又は個人事業者」です。

例えば、過去ずっと売上は900万円前後だったのですが、大手得意先を獲得したことにより売上が急増して3,000万円ほどになったというケース。

この場合、今までであれば、売上が1,000万円を超える3,000万円となった2年後から消費税の納税義務が発生することになるのですが、改正後は、売上が3,000万円となった年の上期6ケ月の売上又は給与基準で1,000万円以下とならない限り、翌年より消費税の課税事業者となります。


■新設会社も今後要注意

また、2つ目の要注意会社は、新設会社です。

起業ということもあれば、既に会社経営をされている方が、販売部門やインターネット部門などを別会社として新設されるようなケースです。

この場合、今までであれば、資本金さえ1,000万円未満にしておけば、大まかには設立後2事業年度は消費税の免税事業者となりました。

しかし改正後は、設立1年目はいいにしても設立2年目については、前年半年基準をクリアーしないと消費税の納税義務が発生することになります。

その対応としては、例えば、平成24年6月1日を設立日とする資本金1,000万円未満の会社を新設する場合に、その事業年度末を11月末などとすると消費税対策となります。

この場合、2事業年度目が平成24年12月1日から平成25年11月30日となり、改正前の取り扱いを受けることになり、結果として、1事業年度及び2事業年度をトータルした6ケ月+12ケ月=18ケ月間が消費税の免税事業者となります。

逆に上記のケースで1月末を事業年度末とした場合で、前年半年基準をクリアーできないようなケースでは、1事業年度目のみの8ケ月間しか消費税の免税事業者となれません。

ただこれはあくまで消費税の視点からだけの話なので、実際会社をつくられる方は、会社の繁忙期など消費税以外の要素も含めて、事業年度をいつからいつまでにするかをお考え下さいね。


■「95%ルール」の適用要件の見直し

消費税改正の2つ目は、「仕入税額控除制度における、いわゆる『95%ルール』の適用要件の見直し」です。

改正の概略は以下となります。

一般課税により申告を行う事業者のうち、当課税期間における課税売上割合が95%以上の事業者は、課税売上げに係る消費税額から、課税仕入れ等に係る消費税額の全額を控除することができることとされていましたが、平成24年4月1日以後に開始する課税期間から、当課税期間における課税売上割合が95%以上かつ課税売上高が5億円以下の場合にのみ全額を控除することができることとされました。

したがって、当課税期間における課税売上高が5億円超の場合、又は課税売上割合が95%未満の場合には、仕入控除税額の計算を個別対応方式若しくは一括比例配分方式のいずれかにより行うこととなります。

※5億円の判定は、当課税期間が1年に満たない場合には、年換算した金額で判定します。

この改正は、平成24年4月1日以後に開始する課税期間から適用されます。
したがって、個人事業者は平成25年分から、事業年度が1年である法人については平成24年4月1日~平成25年3月末決算分から適用されます。

「95%ルール」の適用要件の見直しについて、詳しくはこちらをご覧下さい。

1.基本的な考え方編
http://www.nta.go.jp/shiraberu/ippanjoho/pamph/shohi/kaisei/pdf/kihon.pdf

2.具体的事例編
http://www.nta.go.jp/shiraberu/ippanjoho/pamph/shohi/kaisei/pdf/gutailei.pdf


次回に続きます。