法人の実態調査(交際費↓寄付金↑)
   
作成日:03/30/2012
提供元:マネーコンシェルジュ税理士法人
  


■会社標本調査

国税庁は3月21日に、平成22年度の法人企業の実態調査として、会社標本調査の結果報告を行いました。

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「平成22年度分会社標本調査結果」国税庁

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会社標本調査とは、昭和26年分から始まっていて以後毎年実施されています。
今回は第61回目となります。

また、この調査の目的は、「我が国の法人企業について、資本金階級別や業種別にその実態を明らかにし、併せて租税収入の見積り、税制改正及び税務行政の運営等の基礎資料とすること」とされています。


■法人数は258万社で、欠損法人割合は72.8%

平成22年度分の法人数は258万6,882社で、このうち連結子法人6,528社を差し引いた258万354社のうち、欠損法人は187万7,801社となっています。

欠損法人の割合は、187万7,801社÷258万354社=72.8%となります。

業種別の欠損法人の割合を見ると、料理飲食旅館業(83.8%)が最も高く、次に、繊維工業(83.1%)、出版印刷業(80.9%)の順となっています。

他方、低い順に見ると、不動産業(67.3%)、運輸通信公益事業(69.0%)、卸売業(70.4%)となっています。

ちなみに、全体の法人数を資本金階級別の構成比で見ると、資本金1,000万円未満の階級(57.1%)と資本金1.000万円以上1億円以下の階級(41.8%)が、全体の98.9%を占めています。

日本の企業のほとんどが中小企業であるといえます。


■金融保険業に繰越欠損金の活用例が多い

一方、繰越欠損金の当期控除額は10兆7,190億円で、翌期繰越額は79兆2,839億円となっています。

1事業年度当たりの当期控除額は、全体では1,305万円で、これを業種別に見ると、金融保険業(1億5,808万円)が最も高く、次に、化学工業(5,729万円)、機械工業(3,037万円)の順となっています。

また、1事業年度当たりの翌期繰越額は、全体では4,282万円で、これを業種別に見ると、金融保険業(3億6,602万円)が最も高く、次に、化学工業(1億1,295万円)、機械工業(9,639万円)の順となっています。


■交際費↓

交際費等の支出額は2兆9,360億円で、このうち税法上損金に算入されない金額は1兆1,703億円で、支出額に占める割合は39.9%となっています。

中小企業の交際費支出1割課税(年間600万円まで)からすると、かなり高い割合に感じますが、これに対しては、大企業の場合、交際費は全額課税扱いとなることが原因かと思われます。

ちなみに平成22年度の交際費等支出額2兆9,360億円というのは、過去30年間で最低の金額となっています。


■寄付金↑

寄附金の支出額は6,957億円となっていて、前年度比で27.3%の増加で、寄付金の統計を開始した昭和37年分以降で過去最高額となっています。

また、そのうちの指定寄付金は2,459億円で、前年度比42.5%増となっています。
こちらも、統計開始以降での過去最高額です。

寄付金が大幅に増加しているのは、東日本大震災関連寄付金の支出が大きく影響しているものと思われます。