日本の財政は末期症状-2
   
作成日:08/31/2011
提供元:マネーコンシェルジュ税理士法人
  


前回よりの続きです。


■国際比較

財務省の資料には、国際比較したものもありますので、2つほど紹介しておきます。

・債務残高の国際比較(対GDP比)
債務残高の対GDP比を見ると、90年代後半に財政の健全化を着実に進めた主要先進国と比較して、日本は急速に悪化しており最悪の水準となっています。
http://www.mof.go.jp/budget/fiscal_condition/related_data/sy014_22.pdf
(13ページ)

・純債務残高の国際比較(対GDP比)
純債務残高とは、政府の総債務残高から政府が保有する金融資産(国民の保険料からなる年金積立金等)を差し引いたものです。日本は純債務残高で見ても主要先進国で最悪の水準となっています。
http://www.mof.go.jp/budget/fiscal_condition/related_data/sy014_22.pdf
(14ページ)


■世代ごとの生涯を通じた受益と負担

財務省の資料の中ではわずか半ページしか掲載されていませんが、私が一番気になるのは、この「世代ごとの生涯を通じた受益と負担」の項目です。
http://www.mof.go.jp/budget/fiscal_condition/related_data/sy014_22.pdf
(18ページ)

現行制度を維持した場合、若い世代ほど負担超過が拡大すると推計されています。

若い世代はもっと声をあげていいと思います。

日本には1,400兆円の金融資産があるといわれていますが、そのほとんどが60代以後の所有物となっています。

もちろん今までそれこそ血眼になって働いてきた又は日本に貢献してきたというのは自分の父親をみてもはっきりとわかりますが、別の角度からみると(特にバブル後)負担を先送りにしてきた、というのも事実。

国を現在の人口構成等に基づく正常な状態に戻すために、税金をどこから徴収するのかを考える時、この世代間格差を抜きに議論することを許してはいけないと思います。


■国債は国内で消費されているから大丈夫?

という方もおられますが、そんなまやかしに騙されてはいけません。

今までの数字を見て頂いたらわかるように異常な状態です。
このフツーの感覚が大事です。

日本が売られて金利が上がり国債の暴落が発生するかもしれません。

また、そもそもこれだけジャブジャブ国債を発行していくと、今後は国債を国内だけで消化するのは不可能になるものと思われます。


■やるべきこと

税理士という立場でなかったら、子を持つ親でなかったら、このどうしようもない財政の数字を見て、「ダラダラやってる奴が悪い、おりゃ知らん」等と呑気に言いたいところなのですが、税金を扱う仕事をしている以上、子供の将来を憂える以上、見過ごす立場にないのでどうしていくかを前向きに考えるしかありません。

シンプルですが、まずは、消費税を含めて税金や社会保険料、医療費等を上げる、又は給付を抑制すること、

次には、上記の世代間格差を踏まえて、年配でお金があるところからしっかりと徴収する、又は給付を抑制すること、

かと思います。