『資本の部』の表示が『純資産の部』に~新会社法の影響
   
カテゴリ:法務
作成日:04/25/2006
提供元:アサヒ・ビジネスセンター
  


 旭課長と伊豆野税理士が打ち合わせをしています。なにか、真剣、重要な話みたいです。

旭課長
「伊豆野先生、おかげさまで、恒例の決算を乗り切れそうです。ありがとうございます。」

伊豆野税理士
「いやいや、旭課長、これも皆さんの努力の賜。でも、リエちゃんにしても恵子さんにしても、みんな実力つけたねえ。感心しますよ。」
 


旭課長
「ありがとうございます。でも来年の決算は新会社法の導入でてんやわんやだなあ。利益処分という考え方が無くなったんですよね。資本の部の表示も変わるみたいだし………。う~ん、とにかく大変。」
 
伊豆野税理士
「そうですねえ。いよいよ会社法が5月1日から施行ですね。以前から、お話していますし、これからも、担当の黒田君を通して情報提供しますよ。とりあえず、資本の部の表示についてお話しましょうか。」

リエ
「伊豆野先生、このあいだ黒田さんが『資本の部』の表示が『純資産の部』に変わったと仰っていましたが、私にはずいぶん違和感があるんですけど………。」

伊豆野税理士
「うん、資本の部というのは、経理をやっている人には染みついているからね。実は、この考え方は国際会計基準から来ているんだよ。国際会計基準では、まあ、言ってみれば米国流の考え方だけど、いままで我々がとらえていた『資本の部』というのは、実は、資産と負債の差額と考えるんだ。だから、『純資産の部』となるんだ。資産とは将来のキャッシュイン、負債とは将来のキャッシュアウトあるいはキャッシュインの減少と考える。リエちゃん、たとえば、新株予約権は貸借対照表上、どこに表示するんだっけ。」
 

リエ
「え~と、確か負債の部の最後に「新株予約権」として表示するんでしたよね。」

 
伊豆野税理士
「うん、会社法成立前であれば、それで正解。でも、5月1日からは、その表示だと、会社法を理解していないことになっちゃう。」

旭課長
「たしか、黒田さんが『資本の部』、いや『純資産の部』の一番最後に表示するといっていたね。」

伊豆野税理士
「そう、旭課長、そのとおりです。じゃあ、リエちゃん、なぜ、そうなるの。」

リエ
「え~。わかりませんよ。でも、負債じゃあ間違いなのかなあ。」
 


伊豆野税理士
「考え方からすると、負債では間違いということになるね。さっき、負債はキャッシュアウト、将来お金が出て行くものを表示するといったよね。新株予約権は、将来、株式が出て行くけどお金が出ていくわけではないんだ。だから、負債ではなく、資産と負債の差額である、純資産の部の最後にくるというわけ。」
 
リエ
「う~ん。もう一度。会社法と会計の勉強もしないといけないのね。つらい~。」