庭のお稲荷さんは、相続税の非課税財産ですか?
   
カテゴリ:税務
作成日:08/07/2012
提供元:アサヒ・ビジネスセンター
  


黒田
「皆さんの家の庭に、祠や鳥居、お稲荷さんなどが祀られている方はいらっしゃいますか。」

旭課長
「嫁さんの実家の庭には、小さな稲荷神社と鳥居が祀られていましたね。それが何か?」

黒田
「この7月に国税庁のホームページに相続税の非課税規定の取扱いの変更が掲載されたのでご案内しようと思ったものですから………。」
 


リエ
「今日は、相続税のお勉強ですね。お願いします。」

黒田
「皆さんは、相続税の非課税規定をご存じでしょうか。」
 
旭課長
「お墓は、相続税がかからないと聞いていますがそのことですか。」
 

黒田
「はい、これまでお墓や墓石のほか、そのための敷地も非課税とされていました。一方、庭内神しや神体、神棚などそのものは非課税とされているのですが、そのための土地は非課税規定の対象外とされていました。」

 
リエ
「黒田さん、すみませんが『庭内紳し』ってなんですか。」

黒田
「国税庁のホームページをそのまま引用すると、次のように掲載されています。

「庭内紳し」とは、一般に屋敷内にある神の社や祠等といったご神体を祀り日常礼拝の用に供しているものをいい、ご神体とは不動尊、地蔵尊、道祖神、庚申塔、稲荷等で特定のもの又は地域住民等の信仰の対象とされているものをいいます。

屋敷内に祀られたお稲荷さんなどで一定のものについて、新たにそのための敷地が附属設備と一体の物として非課税財産とされることになったのです。その一定のものとは、以下のように掲載されていました。」

 

(1)

庭内紳しの設備とその敷地、附属設備との位置関係やその設備の敷地への定着性その他これらの現況等といった外形や

(2)

その設備及びその附属設備等の建立の経緯・目的、

(3)

現在の礼拝の態様等も踏まえた上でのその設備及び附属設備等の機能の面から、その設備と社会通念上一体の物として日常礼拝の対象とされているといってよい程度に密接不可分の関係にある相当範囲の敷地や附属設備である場合
 
 


旭課長
「これまでと違って、庭の片隅に祀られた祠や鳥居などの土地が非課税とされたということですね。その敷地の区分が難しそうだね。」
 
黒田
「もう一点、既に相続税の申告済の方でも、この規定の対象となる土地が相続財産にあった場合には、この変更後の取扱いを適用できます。原則として平成23年12月2日以後の申告期限のものについては、その申告期限から5年以内であれば更正の請求ができますし、その日以前の申告期限の分はその1年以内が請求期間となります。また、裁判結果により取扱いが変更されたことから、請求期間を過ぎてしまっている場合であっても、この請求ができるケースもあるようです。個別の案件については、是非私共に相談をしてみてください。」

旭課長
「まもなくお盆休みで実家に帰る時期ですから、改めて自分の実家を見直すいい機会かもしれません。黒田さん、いつもありがとうございます。」