給与所得と事業所得の区分
   
カテゴリ:税務
作成日:03/02/2004
提供元:アサヒ・ビジネスセンター
  


リエ
 黒田さん、お忙しいところすみません。ちょっと教えて頂きたいのですが………。

黒田
 どんなことですか?
 

リエ
 広告デザインの事業をしている友達が、B社と雇用契約を交わしていないのに、支払調書ではなく源泉徴収票をもらってビックリしていたんです。給与所得と事業所得の区分を教えて頂けますか。

 
黒田
 その方はB社でどんな仕事をしているのですか

リエ
 B社での仕事は、月4回程、制作会議に出席しデザインの立案や企画、デザイン指導及び制作作業をしているそうです。

黒田
 業務の遂行または労務の提供から生じる所得が、雇用契約に基づくもの(給与所得)であるか請負契約に基づくもの(事業所得)であるか明らかでない場合には、次の事項などを総合勘案して判定してみるといいですよ。
 


1)

 当該契約の内容が他人の代替を容れるかどうか



他人の代替を容れない(給与所得)、容れることが出来る(事業所得)


2)

 仕事の遂行に当たり個々の作業について指揮監督を受けるかどうか



指揮監督を受ける(給与所得)、指揮監督を受けない(事業所得)


3)

 まだ引渡しを了しない完成品が不可抗力で滅失した場合等において、その者が権利として報酬の請求をなすことができるかどうか



報酬を請求できる(給与所得)、報酬を請求できない(事業所得)


4)

 所得者が材料を提供するかどうか



提供しない(給与所得)、提供する(事業所得)


5)

 作業用具を供与されているかどうか



供与されている(給与所得)、供与されていない(事業所得)
 
リエ
 これで判定すると、私の友達は給与所得に該当するのかな?
 


黒田
 そうだね。業務の遂行に当たって、役務の内容や時間などに相当の拘束があるようなので、給与所得として判定したのでしょう。
雇用契約に基づくものである場合には給与所得、請負契約に基づくものである場合は事業所得として取り扱うのが原則ですが、書面による契約が交わされていても、いずれの所得に当たるのか判断するのが困難だったり契約が交わされていない場合は、提供されている役務の提供が、雇用契約の実態と請負契約の実態とのいずれかにもっともふさわしいかを見極めた上で、それぞれの所得を判定することです。
 
リエ
 分かりました。今聞いたことを友達に話してあげます。