電子申告の時代がやってきた
   
カテゴリ:税務
作成日:06/08/2004
提供元:アサヒ・ビジネスセンター
  


 会計事務所の黒田さんとリエちゃんが、なにやら話をしています。黒田さんが持っているカードを、リエちゃんが物珍しそうに眺めていますが…。

リエ
「へ-、これが住基カードですか~。この中に、いろいろな情報が入っていて、納税者番号なんかのプライバシー問題の火種になっているやつね。ふ~ん。」
 

黒田
「うん、この写真なかなか、いいでしょ。このカードが免許証代わりの証明書になるんだ。これから、保険証機能や災害時の本人確認の機能が入っていくそうだから、住民サービスとしても悪くはないね。あと、日本独自の暗号機能でプライバシーの保護は十分確保されているそうだよ。」

 
リエ
「ふーん、黒田さん、ずいぶん、住基カードの肩をもちますねえ。なにかあるな。あやしい。」

黒田
「へへ、じつは、お願いがあるんだ。社長と旭課長にね。それに、この件に関しては、リエちゃんにも協力してもらわないと…。」

リエ
「なに、なに、もったいぶらないで早く教えてくださいよ。ことと次第に拠ったら…。」

黒田
「おいおい、そんなに怖い顔しないでよ。実は、この住基カードを社長と旭課長に取ってもらいたいんだ。もう、知っていると思うけど、この6月から電子申告ができるようになる。いつも、紙の申告書に所長と旭課長に署名・押印してもらっているだろう。その、署名・捺印をこの住基カードを使ってすることになるんだ。もちろん、原則として、申告書は紙では出さずに、インターネット経由で税務署に電送する。その、準備として住基カードを取ってもらうというわけさ。」

リエ
「へー、うちも申告は電子申告になるんですかぁ。勉強しないといけませんね。ざっと、手順だけでも教えてください。」

黒田
「うん、詳しい話は、今度改めてするけど…。まず、電子申告をするための準備が必要だ。はじめに、税務署に「電子申告・納税等開始届出書」を提出する。税務署側では、その月末までに提出した届出先に対し、翌月末までに電子申告キットを送ってくれることになっている。そのキットの中には、e-Taxソフトと「利用者識別番号」と「(仮)暗証番号」が入ったペーパーが入っていて、その(仮)暗証番号を正式なものに直し、電子証明書を登録すればOKさ。この、電子証明書は、住基カードに入れてもらうんだ。だから、準備段階でとってもらわないとね。」

リエ
「ふーん、で、実際の申告はどうするんですか。」

黒田
「うん、申告書はいつもどおり、事務所で作る。そして、いつものように、社長と旭課長に決算報告会に参加してもらうわけだけど、その時に、お二人には、住基カードを持ってきてもらう。そして、申告書に、「ICカードリーダライタ」を使って、電子データで署名してもらうわけだ。もちろん、機械はみんな事務所で準備をするけど…。」

リエ
「伊豆野先生の署名はどうなるのですか。」

黒田
「うん、うちの伊豆野もICカードは税理士会から手に入れている。研修にも一生懸命、出ているみたいだよ。」
 


リエ
「ふーん、小泉首相が電子政府、電子政府と言っていたけど、現実にもうすぐそこまで来ているのかなあ。なんとなく、政治家の発想は仮想世界みたいで、現実感がなくていやなんですけど…。年金問題も人ごとよね。でも、携帯電話やパソコンの普及のように、これは現実問題ですよね。」
 
黒田
「うん、まず、我々の業界が電子政府の水先案内人にならなくっちゃ。おぼれないようにしないといけないね。」