得意先も参加しての運動会費用の経理処理は?
   
カテゴリ:税務
作成日:09/10/2002
提供元:アサヒ・ビジネスセンター
  


夏が終わって、秋になりました。恒例の「秋の大運動会」が開催されます。
運動会の準備で大慌ての恵子さんの側をリエちゃんが通りかかりました。

恵子
「あ~、忙しい。パンフレットや進行表がやっと完成したから、各部署に配布しなくちゃいけないな。」

リエ
「恵子ちゃん、とても忙しそうね。私が各部署に配布しておいてあげましょうか。」

恵子
「ありがとうございます。とても助かります。じゃあ、私の方は来賓として参加してくださる得意先のお客様に案内文を送付しておこうっと。」
 

リエ
「えっ!得意先のお客様も参加するの?」

恵子
「そうですよ!何か問題があるのでしょうか?」

 
リエ
「いえ、別に参加して頂けるのはとても嬉しいんだけど、支出する運動会の費用の経理処理が気になったの。支出した全額を福利厚生費としていいのかなぁ?」

恵子
「え、運動会の費用だから福利厚生費として処理していいんじゃないですか。」

リエちゃんと恵子さんが相談しているところに、旭課長が通りかがりました。

旭課長
「リエちゃん、恵子ちゃん、何を相談しているの?」



リエ
「あっ!課長、運動会の費用の件でご相談があるのですが、得意先のお客様をご招待することになっていますが、支出する全額を福利厚生費として経理処理してしまうと何か問題がありますか?」


旭課長
「なるほど。費用の全額を福利厚生費として扱うのは、ちょっとまずいと思うよ。」

恵子
「え~、何でですか?教えてください。」
 


旭課長
「じぁ、簡単に説明しようか。福利厚生費とは、まず、『専ら』従業員の慰安のために行われる運動会や旅行等でこれらに通常要する費用であることが前提になるんだよ。得意先のお客様が『専ら』の従業員でないことから考えると、福利厚生費ではなく、接待交際に類する行為になるから接待交際費として扱うのが妥当と思うよ。」
 
恵子
「へぇ~、なるほど。課長、よく分かりました。『専ら』と言うことが大事になるんですね。でも、飲食代や賞品代等の支出した金額をどのように従業員とお客様とに分けたらよいのでしょうか。」

旭課長
「恵子ちゃん、ご招待する方の名簿とかで人数を把握しているでしょう。参加人数全員で支出した全額を除して一人あたりの金額を算出して、ご招待者の人数分に乗じた金額を接待交際費とし、残額を福利厚生費としてください。」

恵子
「なるほど、よくわかりました。」

旭課長
「だから、費用をどうやって分配したかが分かるように、参加者や得意先のお客様の名簿等をしっかり備えておく必要がありますね。それと、余談になるけど、運動会が終了したあとに幹部だけで慰労会をすることになっているけど、これについても、社員の一部だけであって『専ら』の従業員に該当しないから接待交際費になります。」

リエ
「はい、よく分かったよね、恵子ちゃん。でも、運動会のあとに慰労会があることだけはちょっと納得できませんけど………!」