「住民税」の仕組みが分かる基本講座
   
作成日:05/24/2001
提供元:月刊 経理WOMAN
  


もう一度自分の知識を確認しておこう!
「住民税」の仕組みが分かる基本講座

「住民税」ってどんな税金? 住民税は、市町村民税(東京23区は特別区民税)と道府県民税(東京は都民税)の二つの合計から構成されています。これら市町村民税、道府県民税の両方とも、その人の前年の所得に応じて課税される「所得割」と、所得がなくても課税される「均等割」とがあります。また、課税される時期ですが、前年分の所得に対して翌年の6月から課税されることとなっています。これが、当年分の所得に対する税金をその年(実際に確定するのは年末調整あるいは確定申告時となりますが)に支払う所得税とは大きく異なる点です。「退職した後に住民税の納付書が送られてきて払うのに苦労した」ということをよく聞きます。これは、納税の時期のズレを認識していないことの現われといえるでしょう。

◇所得割の計算方法

 所得割はその従業員(役員を含む)の給与所得(いわゆる給与所得控除後の金額)から、扶養控除等の所得控除の金額を差し引いた課税所得に対して税率をかけて算出します。この計算方法は所得税の場合と同様ですが、所得控除の額が図表1のとおり異なります。所得割の標準税率は、課税所得金額に応じて次のとおりです。

図表1 所得税控除限度額と所得控除額
 所 得 税住 民 税
生命保険料控除
(一般・個人年金)
各最高5万円各最高3.5万円
損害保険料控除
(短期・長期)
合計最高1.5万円合計最高1万円
一般扶養親族控除額38万円33万円
特定扶養親族控除額63万円45万円
配偶者控除額38万円33万円
基礎控除額38万円33万円

上記の他、障害者控除、配偶者特別控除等も異なります。

【道府県民税】年700万円以下の金額…2%
年700万円超の金額…3%


【市町村民税】年200万円以下の金額…3%
年200万円超700万円以下の金額…8%
年700万円超の金額…10%


 なお、定率減税により上記所得割額の15%(4万円を限度)相当額を控除します。

◇均等割の税率

 所得の有無にかかわらず課税される均等割の標準税率は次のとおりです。

【道府県民税】年額1000円


【市町村民税】人口50万人以上の市及び東京23区…年額3000円
人口5万人以上50万人未満の市 …年額2500円
その他の市並びに町村…年額2000円


普通徴収と特別徴収の違い

 住民税の徴収方法には「普通徴収」と「特別徴収」の二通りがあります。
「普通徴収」とは、市町村が納税通知書(納付書)を納税者である個人に送付し、納税者自身が自分で納税する方法(納期は6月、8月、10月、翌年1月)をいいます。
 一方の「特別徴収」とは、給与所得者に対する徴収方法で、特別徴収義務者である会社が、給与支払時に住民税相当額を天引し、翌月10日までに個人に代わって納付する方法をいいます。この特別徴収は6月から翌年5月までの12ヵ月間で徴収することになっています。

特別徴収の事務手続き

 会社の経理担当者は、前述の徴収方法のうち「特別徴収」の事務手続きを行ないます。「特別徴収」の対象となる従業員は、前年に会社から給与の支払を受け、本年の4月1日現在も引続きその会社から給与の支払を受けている人です。具体的な手続きは次のとおりです。




(1) その年の1月31日までに、その会社が前年中に支払った従業員の給与について「給与支払報告書」及び「総括表」を、その従業員が1月1日現在住所を有する市区町村長宛てに提出します。
(2) 提出された給与支払報告書を基に、市区町村から5月中旬に個人別の「特別徴収税額通知書」が送付されてきます。この「特別徴収税額通知書」には、6月以降に給与から天引、徴収する住民税額が記載されています。
(3) 市区町村から郵送されてきた「特別徴収税額通知書」の本人控を各人に渡し、6月以降に控除される住民税額を通知します。
(4) 6月の給与から順次、毎月の住民税相当額を天引します(6月分と7月以降分は端数の関係で金額が異なることがありますので注意してください)。
(5) (4)で徴収した住民税相当額を、翌月10日までに金融機関を通して市区町村に納付します。


=豆知識=
住民税はどこが高い?

 よく、「引越したら住民税が高くなっちゃったわよ」「そうそう、△×市ってギャンブル施設があるおかげで住民税が安いらしいよ」といった会話を耳にしますが本当でしょうか? もちろん答えはNoです。均等割に差があるとはいえ、その差は多くて年間1000円です。私の推測では、自分の給料のベースアップを忘れていたり、住民税の所得割の税率が累進税率で課税されるからではないでしょうか? 隣の市が安かったら、みんな引越しちゃいますよね。


〔月刊 経理WOMAN〕