休業中の法人に対する均等割はどうなるの?
   
カテゴリ:税務
作成日:05/23/2006
提供元:アサヒ・ビジネスセンター
  


 亀井工場長が黒田さんに何か相談しています。

亀井
「黒田さんちょっと相談いいかな。」

黒田
「あっ、亀井工場長、お疲れ様です。どうされました?」

亀井
「実はうちの甥っ子が以前会社を興したんだが…」

黒田
「はい、覚えてますよ。確か1円会社でしたよね。」

亀井
「そうそう。で、その会社の業績があまり芳しくなかったので、事業をやめたんだよ。」

黒田
「えっ、それは大変でしたね。それじゃ今、どうされてるんですか?」
 

亀井
「今は、またコンピュータ関連会社に勤めてるよ。業績は良くなかったみたいだけど、自己資金の範囲で借金などを残さなかったのが、不幸中の幸いかな。」

 
黒田
「そうですか。それを聞いてちょっと安心しました。」

亀井
「ところが甥っ子は、また何か始める時のために、会社は存続させたいらしい。この場合、法人の都民税とかは、納め続けなければいけないのかな?」

黒田
「なるほど、そういうことですね。ところで今、事業をされていた場所はどのような状態ですか?」

亀井
「事務所は元々なくて自宅で作業していたからね。それが何か関係するの?」

黒田
「はい。そこで、事業活動を今でも行っている、若しくは事業活動をする体制が整っている状態で、依頼があれば業務を行えるというのであれば、法人の都道府県民税及び、市区町村民税の均等割は支払い続けなければいけません。つまり、休業しているとしても、事務所若しくは事業所として機能しているのであれば均等割は発生します。」

亀井
「そうか、うちの場合は事務所としての機能はしていないので、支払わなくてもいい、と考えていいんだね。」

黒田
「そういうことになります。ただし、休業届出書などを提出した上で、県や市へ事業所へ一度連絡したほうが良いかと思います。県や市側は均等割の発生しなくなった事実を知らないので、均等割の納付についてのお尋ね等が届くことになります。」

亀井
「なるほど。事前に連絡したほうが良かったんだね。そうしたら、今回の均等割はどうすればいいの?3月決算で今月中の申告、納付らしいんだけど。」
  


黒田
「これは、一概に言えないんですけど、休業及び事業所のない旨を伝えていないので今年度分については、均等割は払わざるを得ないかもしれません。ただ、申告前に確認をしたほうがよいですね。いつ頃に事業所が機能していない状態になっているのかなどを伝えた上で相談なさってみてはいかがでしょうか?」
  
亀井
「そうですか。とりあえず連絡してみるように伝えるよ。」

黒田
「それと、もう一つ確認ですが、あの後増資はしていますか?」

亀井
「いや、設立当初の資本金100万円の有限会社だけど。でも新会社法で最低資本金はなくなったからいいんだよね。」

黒田
「いえ、当時の法による1円会社の設立の場合、定款に、最低資本金まで増資をしない場合は解散する、ということになっているはずなので、その条文を定款より削除しなければ、設立から5年経過した時点で、解散か合名または合資への組織変更となります。有限会社のまま残される希望があるのでしたら、定款変更の登記(解散の事由の条文を削除)が必要となりますのでご注意下さい。」

亀井
「そうだったのか。聞いておいて良かったよ、ありがとう。」