第118回 成功曲線を描こう!
(2008/04/04)

 今回は、少し手前味噌ではありますが、私自身の起業の経験を踏まえ、

「会社を成長させるための、経営者の心構え」

についてお話ししたいと思います。


●ロケットスタートの予定が・・・

 私が前職の野村総合研究所を退職し、株)WEBマーケティング総合研究所(当時の社名は、中小企業IT振興会)を設立したのは、2002年の1月の事でした。

 それからちょうど5年が経過した訳ですが、いま改めて当時を振り返ってみると、独立当初、経営者として自分がいかに甘かったか、ちょっと恥ずかしくなる位です。

 今でこそ、それなりに名前も知られるようになりましたし、社員もだいぶ増えたのですが、ここまで来るのには本当に山あり谷ありでした。(私のプロフィールに、この変の裏話を書いていますので、ご興味あればご一読下さい。)

 吉本のプロフィール

 何が甘かったかというと、独立前に立てた事業計画が全くもって問題外だったのです。

 独立前にExcelで色々と売上等の数字をシミュレーションしたのですが、その計画が左下から右上にかけて、売上が急上昇する「一直線」の事業計画でした。そのグラフを見ながら、一人悦に入っていたのです。

 が、現実はそんなに甘くありませんでした。

 左下から右上に「急上昇」するどころか、ほとんど売上が「ゼロ」の線を「水平」にウロウロするようなグラフになってしまいました。

 当初の計画のグラフの角度が「45度」くらいだとすると、現実の角度は「0度」だったという感じだったのです。


●そんな時に読んだのが・・・

 こうした、ほとんど「角度0」の「水平線」の売上グラフを見ながら、悪戦苦闘した日々が1年半ほど続きました。

 そんな時に出会ったのが、

 「成功曲線」を描こう。

という書籍です。

 この本を読んで、自分自身、今の状況をどう捉えればよいのか、ストンと腹に落ちたので。

 私が当時、何を間違っていたかというと、グラフの書き方でした。

 先ほどもご説明したように、私が立てた計画というのは

左下から右上に角度45度で「一直線」に伸びるグラフ

でした。

 ところがその「一直線」の計画と比較して、実際の売上は、

0のすぐ上をウロウロしている「水平」のグラフ

となっていたのです。

 つまり私の立てた計画は、

全てが順調に計画通り推移する前提のグラフ

なのに対して、実際は

ほとんど計画通りに進まずに、試行錯誤が続いているグラフ

となっていた訳です。


●成功曲線とは

 この「成功曲線を描こう」を読んで一番感銘を受けたのが、

・成功は「一直線」に成し遂げられるものではない

・最初は「水平」に、それが徐々に角度がついてきて、やがては「急上昇」していく

という「成功曲線」の考え方でした。

 おわんを横からみると、底から右側に徐々に角度がついて滑らかなカーブを描きます。

 「成功曲線」もこれと同じなのです。

 最初は「水平」のグラフで、自分自身が成長している実感がほとんどありません。

 右上に一直線に伸びるグラフと比較すると、毎日「計画との乖離」は広がるばかりです。

 日々悪戦苦闘を続けるものの、そのグラフの角度はほとんど水平のままで、多くの人はこの段階でギブアップしてしまいます。

 しかし「成功曲線」の理論によると、最初は必ず「水平」なのです。

 最初から「一直線」に成長するのではなく、「水平」の状態で努力を続けることで、徐々に角度がついてくるのです。

 そして最後には、その角度が急カーブを描いて、自分の当初描いていた成功の到達点」に辿り着くことができるのです。


●水平を嘆く必要はない

 この「成功曲線」の理論を読んで、肩の荷が下りたのが、

「一直線」の計画通りに行かないこと、すなわち「一直線」のグラフと「水平」の乖離が日々開いていることを、気に病む必要はない

という事でした。

 「最初は誰でも“水平”なんだ」ということが理解できれば、「なぜうまく行かないんだろう」と悩む必要はありません。

 最初は誰でも水平なのですから、最初から覚悟を決めて水平の時期を乗り越えればいいのです。

 この水平の時期を乗り越えれば、やがて徐々に角度がついて来るのですから、それを信じて毎日を地道に努力すれば良いわけです。

「成功曲線」を描こう。石原明著
「成功曲線」を描こう。
−夢をかなえる仕事のヒント−

石原 明 (著) 大和書房
 当時、こんな風に考えられるようになってから、随分と気持ちが楽になったものでした。

 ちなみに、なぜ成功曲線が「水平」なのか、そしてその水平のグラフがなぜ徐々に角度がついてくるのか、という理論的な説明はこの本の中に詳しく書かれていますので、そちらをご参照下さい。

 当時の私と同じように、今苦労している方は、この本を読むときっと目の前がパッと明るくなると思いますよ。(^^)V