第76回 ホームページでのブランド戦略
(2007/04/06)

●ブランド化は営業戦略です

 みなさんは、ブランドという言葉からどのようなイメージを連想されるでしょうか。

 多くの方が、「ルイ・ヴィトン」のような女性向けの高級皮革・服飾ブランドを頭に思い浮かべたのではないでしょうか。

 ブランドというと、こういった高級ブランドのことをイメージしてしまいがちですが、なにも高級でなければブランドではないというわけではありません。

 例えば「うまい。やすい。はやい。」が売りの吉野家の牛丼も、立派なブランドです。\(^_^)/

 ブランドとは高級化することではなく、商品・サービスにイメージやステータスをもたせることです。

 このブランド化は、ただ格好をつけるためにするものでありません。

 ブランド化は、狙った客層に商品やサービスを買ってもらうための戦略です。

 「ルイ・ヴィトン」でしたら、高級なバッグなどを手に入れたいと思っているお客さんに買ってもらうために、高級ブランドとしてのイメージを打ち出しています。

 吉野家の牛丼は、食事にお金も時間もあまりかけたくないけど、うまいものが食べたいという学生やサラリーマンを多く集客するために、「うまい。やすい。はやい。」というコピーでブランド化しているわけです。


●一貫性のある情報を出し続ける

 物を売ろうと思ったときに、このブランド化はとても重要です。

 あらゆるすべての人に売れる商品・サービスというものはありません。

 商品やサービスには、それを必要としている客層というものが存在します。

 先ほど例に挙げた二つの例で言うと、

「ルイ・ヴィトン」 → 高級皮革・服飾品を身に着けたい富裕層
「吉野家」     → 食費を節約したい学生・サラリーマン


というように、その商品を求めている客層があるのです。

 そして、それぞれがその客層を見極めてブランドイメージを作ることで、集客力を上げているわけです。

 では、どうすればこのようなブランドイメージができあがるのかというと、それには一貫した情報を出し続ける必要があります。

 例えば、「100円でボリュームたっぷり」であることを売りに出店したラーメン屋があったとします。

 このラーメン屋が、あまり売り上げが伸びないからと言って、3ヶ月後に急に「量は少ないけど高級素材使用」というラーメン屋に変わってしまったとしたらどうでしょう。

 三ヶ月の間に「100円でボリュームたっぷり」を目当てに来てくれていたお客さんは、当然離れてしまいます。(--;)

 そして、「量は少ないけど高級素材使用」のラーメン屋であるという情報を、また一からお客さんに浸透させていかなくてはいけないわけです。

 ターゲットにする客層をコロコロ変えていたら、結局どの客層おのお客さんを集客することもできないわけです。

 「ルイ・ヴィトン」は、高級感をアピールし続けることで、高級ブランドとしての地位ができあがりました。

 吉野家は、うまさだけでなく早さと安さをアピールし続けることで、学生・サラリーマンの食事の定番としての地位を獲得しました。

 どちらも、ターゲットとしている客層から大きな支持を受けています。

 一貫性のある情報を出し続け、狙った客層に対してメリットのある商品だという意識を広く浸透させることでブランドイメージができあがったのです。

 そして、このブランドイメージをお客さんに浸透させると、特定の客層を効果的に、持続して集客することができるわけです。


●商品のブランド化でホームページの見せ方は変わる

 ホームページでビジネスを展開する上でも、このブランド化がとても重要です

 例として、弁護士さんがホームページを開設するというケースで考えてみましょう。

 商品だけでなく、このような「人が商品」であるような場合でも、ブランド化は必要です。

 まず、独立して数年の弁護士さんがいて、新規顧客開拓のためにホームページを作ることになったとします。

 この時、もし個人客をターゲットにして、親しみやすさを売りにしようと思ったら、プロフィールや写真、文章の書き方なども、気さくな人物に見えるように作らなければいけません。

 これは、個人でも小さな案件でも、安心して相談できる弁護士だということをアピールするためのブランドを打ち出すわけです。

 逆に、企業から顧問弁護士の仕事などを請け負うことを目的とするならば、親しみやすさよりも厳格さや能力の高さを最優先でアピールする必要があります。

 企業が安心して任せることができる、おカタくて有能な弁護士ですよというブランド戦略なわけです。

 同じ弁護士さんでも、ターゲットが違うだけでホームページの作り方は変わってきてしまうわけです。


●ブランドは売れる仕組みでもあるのです

 商売をする上で、このブランド化が大切な理由がもう一つあります。

 すべての客層のお客さんを対象にしていると、お客さんのニーズはバラバラになりますから、商売をする側もいろいろな事に対応していかなくてはなりません。

 先ほどの弁護士さんの例ですと、個人客の小さな案件も大企業の顧問もどちらも引き受けてしまおうとすると、案件によって内容も解決策もバラバラになってきます。(^^;)

 そうすると、人手を増やさない限り仕事の効率はどんどん悪くなります。

 それに、内容がバラバラな分、案件の傾向ごとのノウハウもなかなか溜まりません。

 それに、特定の客層に向けて情報を効率よく発信することができませんから、集客の効率も悪化します。

 これを、個人客、企業客というようなターゲットに合わせてブランド化をすると、狙った客層のお客さんが集まります。

そうすると、

・どんなお客さんから依頼がきて
・どんな内容の依頼があって
・どのように解決していくか


というところがある程度固まっていきます。

 すると、お客さんのニーズや仕事の内容に傾向があるので、その客層をターゲットにして商売をするノウハウが溜まっていきます。

 そして、これがシステム化すると一つのビジネスモデルができあがるわけです。

 ブランド化することで対象とする客層が決定し、客層を定めて商売を続けていくと、その客層へ向けての売れる仕組みが完成していくのです。

 ホームページで商品やサービスの情報を提供する時も、このブランド化を踏まえたで、どんな情報を出していくのか考えてみてください。

 そうすることで、集客の効率を高めるだけでなく、ビジネスモデルの構築にも一役買うことができるのです。