第75回 アクセスアップだけでは
コンバージョンレートは上がらない
(2007/03/30)

●世の中アクセスアップが流行っていますが……

 ほんのちょっと前まで一般にはあまり馴染みのない言葉だった「SEO」ですが、今では多くの人が知るところとなりました。

 SEOとは、「Google」や「Yahoo!」などの検索サイトで、特定のキーワードで検索した時に結果の上位に表示されるよう、ホームページのつくりを工夫するテクニックのことです。

 例えば、パソコンを扱っているお店のホームページならば、「パソコン」というキーワードで検索された時に検索結果の始めのほうに表示されるように工夫して、より多くの人にアクセスしてもらおうというものです。

 書店でビジネス書のコーナーに足を向けてみると、数種類のSEO本が必ず平積みになっているほど、SEOは注目を浴びています。

 これだけ流行っているわけですから、かなり多くのホームページオーナーが、アクセスアップに躍起になっていることでしょう。

 ですが、アクセス数をいくら稼いだところで、アクセスしてくれた人が商品やサービスに興味をもってくれなかったら意味がありません。

 ここで、コンバージョンレート(購買率)についておさらいしてみましょう。(^^)


●コンバージョンレートとは?

 以前にもこのメールレターでちょっとだけ取り上げましたが、アクセスしてくれた人の内、どれくらいの人が商品購入や資料請求をしてくれたかという指標をコンバージョンレートと言います。

 例えば商品購入のコンバージョンレートであれば、

コンバージョンレート = 商品購入数 ÷ アクセス数

という式で算出されます。

 1000人のアクセスに対して、10人の人が購入してくれたとしたら、コンバージョンレートは10÷1000=0.01、パーセンテージにして1%。

 アクセス者の内、1%の人が商品を購入したということになります。

 この式をひっくり返して、商品購入数を求める式に組み変えてみると、

商品購入数 = アクセス数 ×コンバージョンレート

というふうになります。

 この式は、アクセス数とコンバージョンレートの両方が商品購入数に深く関係しているということをはっきりと表しています。

 ホームページがいくらアクセス数を獲得していても、このコンバージョンレートが低くては、思うように商品購入数は上がらないのです。

 アクセス数とコンバージョンレート、この両方を高めることが、商品購入数を増やすためには必要なのです。


●ホームページの内容を差別化することが重要です

 では、どうすればコンバージョンレートを上げることができるのでしょうか。

 コンバージョンレートを高めていない悪い例を挙げて、説明してみます。

 デジタルカメラが主力商品の、A工業とB電機という二つのライバル会社のホームページがあったとしましょう。

 「デジタルカメラ」というキーワードで検索すると、検索結果の一番目にA工業が、二番目にB電機が表示されたとします。

 お客さんは二つのホームページをそれぞれ見て、何を判断基準にデジタルカメラを購入するでしょうか。

 それはもちろん、ホームページに書いてある内容です。

 ですが、ホームページに書いてあることがどちらもほとんど同じで、二番目に表示されていたB電機のホームページの商品の方が安かったとしたら……

SEOの効果がより上がっているのはA工業

であるのにも関わらず、お客さんは

安いという理由でB電機のデジタルカメラを買ってしまう

というわけです。

 A工業が商品を買ってもらうには、アクセス数を稼ぐだけではなく、A工業のデジタルカメラが価格以外で“B電機より優れている点”をアピールする必要があったわけです。

 この“B電機より優れている点”をアピールして「差別化」することこそ、コンバージョンレートを上げるための秘訣でもあるのです。

 もちろん、検索エンジン対策などでアクセス数を増やすことはとても重要なことです。

 SEOが流行っていることを見てもわかるように、どんなホームページでもある程度のアクセスアップ対策を施していますし、それに対抗していかなければ置いていかれる一方です。

 ですが、いくらがんばってアクセス数を稼いでも、自社の商品が優れているということを説明できなければ、アクセスを商品購買や資料請求に繋げることはできないのです。

 価格の安さも確かに差別化の一つのポイントですが、価格のみで競っていては、売り上げも何もあったものではありません。

 同じくらいアクセスを稼いでいるライバル店に勝つためには、価格だけではなく、

「ホームページの内容で差別化して優位に立つ」

ことで、コンバージョンレートを高める必要があるのです。


●商品説明よりも、メリットをお客さんに伝える

 では、コンバージョンレートを高めるために、どのように内容の差別化をすればいいのでしょうか。

 例えば、先ほどのデジタルカメラの例ですと、よくある宣伝文句が次のようなものです。

「×××万画素!」
「光学○○倍ズーム!」

 デジタルカメラに詳しい人であれば、このような説明でも理解できて、他の商品との比較ができるかもしれません。

 ですが、デジタルカメラに詳しいわけではない多くの人たちは、これではこの商品がどう優れているのかわかりません。

 どのホームページに行ってみても同じようなにこんな文句が並んでいるのでは、ほとんどのお客さんは商品の良し悪しを判断することができないわけです。

 いくらアクセスを稼ぐことができたとしても、このような説明ばかりのホームページでは、商品のよさを伝えきれていません。

「×××万画素!」

 ではなくて、「×××万画素!」だとどう良いのか、買ったお客さんにどういったメリットがあるのかというところまでを書かなくてはならないのです。

 例えば、この文句を

「×倍に引き伸ばしてもまったく粗さが出ない美しさ!」

 という風にすれば、デジタルカメラに詳しくないような人でも、どれくらいきれいな写真が撮れるデジタルカメラなのか、イメージしやすくなるでしょう。


●ターゲットを絞ってアピールする

 さらに他のホームページと差別化を図るためには、ターゲットを絞り込んでホームページの内容を考えてみましょう。

「光学○○倍ズーム!」

というような言葉ではなく、

「グラウンドの向こうにいる子供でも、画面いっぱいに拡大可能!」

というような売り文句にすれば、運動会を控えたお子さんがいる親御さんなどは、

「これなら息子の走る姿をバッチリ撮影できそうだなぁ」

というふうに思うに違いありません。

 特定の客層をターゲットにして商品をアピールすることで、その客層からのコンバージョンレートアップを狙うことができるわけです。


●多くの会社が商品説明のオンパレードなのです

 商品説明だけならどこのホームページでも書いてありますので、それだけでは結局安い方が買われることになってしまいます。

 自社の商品やサービスが、どんな客層にどんなメリットをもたらすのかを考え、

・ターゲットを明確にする
・どんなメリットがあるのかを具体的に打ち出す


の二点に注意して情報を出すことで、価格以外の面で他のホームページより優位に立てる差別化を行うことができるわけです。

 ここまで読んでみて、

「うちは大丈夫、ハハハ(^o^)」

と思っていらっしゃる方も、一度はご自身のホームページをチェックしてみてください。

「今話題のダイエット食品です」
「○○種類の材料を配合!」
「○○社のレンズを採用」

などなど……メリットをうたっているようで商品説明になってしまっている言葉って、意外と多いものですよ。(^^;)

 説明している本人にはそのメリットがわかっていても、お客さんも同じとは限りません。

 お客さんの立場に立って、ホームページの内容を見直してみてください。

 SEOや広告などでアクセスアップを狙うことは重要ですが、これはテクニックやお金さえあれば誰でもできることです。

 それだけでは他のサイトとの差別化はできません。

 商品やサービスを値段だけで判断されてしまわないためにも、お客さんにどんなメリットがあるのかを打ち出して、コンバージョンレートを高める工夫を施してみましょう。