第28回 レンタルサーバー選びのポイントとは
(2006/04/28)

 前回お話しした「HP作成会社を選ぶポイント」が好評でしたので、今回は「レンタルサーバー選びのポイント」についてお話ししてみましょう。


●レンタルサーバーとは?

 それでは最初に「レンタルサーバー」とは何かについて考えてみましょう。

 まずは目先を変えて、実店舗でお話ししてみます。例えばあなたが、地方に新しく「店舗」を構えることにしたとしましょう。

 「新店舗」を開設するためには、まずオフィス(テナント)を借りる必要があります。いくつかのビル(テナントビル)を検討して、入居するのにふさわしい物件を探すことでしょう。そして一番良い物件を選んで、ビルオーナー(テナント業者)が保有するテナントビルの一部屋(テナント)を借りることになります。

 このオフィスを借りるということが、ホームページでは、

「レンタルサーバーを借りる」

事に該当します。

「ホームページ」と言う「店舗」

「サーバー」と言う「テナントビル」

の中に間借りするわけです。

 そして、テナントビルをいくつかの部屋に分けて「テナント」として貸し出すように、サーバーの内部をいくつかに分割して利用します。この分割されたスペースのことを

「サーバースペース」

と呼びます。

 また賃貸用のオフィスをレンタルオフィスと呼ぶように、この賃貸用のサーバーのことを

「レンタルサーバー」

と呼ぶのです。

 つまり

「レンタルサーバー業者」(テナント業者)から、
「サーバー」(テナントビル)の一部を
「サーバースペース」(テナント or 店舗)として借りる

ということですね。

 それでは「レンタルサーバー」が何かが分かったところで、レンタルサーバー業者を選ぶポイントについて考えてみましょう。

 このサーバー業者を選ぶポイントはいくつかあり、人によって重視するポイントは違うのですが、今日は最も重要なポイントをお話ししましょう。


●サーバーをどこに設置しているか?

 レンタルサーバーというコンピュータを、サーバー業者はどこに設置していると思いますか?

 実店舗のテナントであれば、実際にその場所を訪れて、借りる部屋を見ることができます。その際に、ビルが古いとか、部屋に穴があいているとか、あるいはビルの周囲の治安はどうだとか、色々とチェックすることでしょう。

 でもレンタルサーバーに関して、あなたが実際にチェックすることはないと思います。場所が離れていることもありますが、サーバー業者がセキュリティー上の観点から、あなたの見学を許可してくれない可能性が高いからです。

 そして実際にサーバーを見ることのできないあなたは、こうお考えのことと思います。「よく分からないけど、きっとちゃんとした場所にサーバーを設置してるだろう」。

 でも実は、レンタルサーバーを「オフィスの片隅」や、「マンションの一室」に設置しているサーバー業者が少なくないのです。

 レンタルサーバーといっても、それほど大きいものではありません。最近は小型化が進んでいるため、小型サーバーだと厚さ4cmくらいしかありません。そのため一昔前の大型コンピュータほどの、広いスペースは必要としないのです。

 そのため専用のサーバールームを持たない業者でも、レンタルサーバーのサービスが提供できるようになりました。

 自宅の押入でも、埃まみれのオフィスの床でも、サーバーを一台購入すれば、それでレンタルサーバーのサービスを提供できるのです。

 でもこのような業者では、サーバーの管理がほとんどされません。漏電や埃による故障、時にはネズミにケーブルを切られたりもします。またオフィスやマンションが停電になると、当然あなたのサーバーもダウンしてしまいます。

 その業者がミスをしなくても、例えば上の階の人が漏水させると、サーバー業者のコンピュータは水浸しになります。あるいは下の階の人が火事を出した途端に、あなたのサーバーは黒こげになるのです。

 そして何よりも怖いのは、オフィスやマンションの一室に設置されたサーバーのセキュリティーです。大した防犯対策が施されているわけではありませんから、泥棒に侵入されてサーバーのハードディスクが盗まれたりもするのです。

 こんな被害にあった途端、あなたのホームページは、いきなり「消滅」してしまいます。

 中小のサーバー業者は、運用コストを抑えるために、専用のサーバールームを用意していない場合が少なくありません。

 確かにその結果、サーバーのレンタル費用は安いのですが、以上述べたように「いつ何があってもおかしくない」状況なのです。

 一方、大手のサーバー業者はどうでしょうか。実は大手のサーバー業者では、「専用のサーバールーム」をはるかに上回る「専用のコンピュータセンター」でサーバーを運用しています。

 最新のコンピュータセンターでは、24時間常駐の監視員が監視を続けています。センターに入るには、何重にもわたるチェックを受けなければいけません。あちらこちらにビデオカメラが設置されて、不審人物をチェックしています。

 ビルは耐震構造ですから、阪神大震災くらいの地震ではビクともしません。また停電対策として「自家発電装置」も用意されていますし、火災対策として水の代わりに「ハロゲンガス」の防火設備も用意されているのです。

 企業の「サーバー」を預かるためには、本来ここまでやらないと、責任持った運用はできません。

 あなたが新しく店舗を構える時に、トタン屋根で、壁に穴があいた部屋は借りないでしょう。また鍵のかからない部屋や傾いたビルのテナントを、借りたりもしないと思います。

 でもレンタルサーバーでは、そのサーバーがどんな状況なのか分かりません。見ることが出来ない結果、とんでもない状態のサーバーを借りようとしているのかも知れないのです。

 ですから、なるべく「専用のコンピュータセンター」でサーバーを管理している業者を選びましょう。

 コンピュータセンターが無理な場合でも、せめて「サーバー専用ルーム」でレンタルサーバーを管理している業者にしましょう。

 そしてできれば、「サーバー専用ルーム」を見せてもらいましょう。

 そうすれば、あなたのレンタルサーバーがどのような状態なのか、よく分かりますからね。(^^)