第23回 電子メールの「メールシナリオ」と「メールの書き方」
(2006/03/24)

 前回は先週に続いて、「電子メールの活用」についてお話しして行きましょう。


●メールのシナリオ

 電子メールで販売したい商品が決まったあとは、それをどういうステップでお客さんにアピールして行くかを考える必要があります。

 このステップのことを「メールシナリオ」と言いますが、具体的には以下の項目を検討します。

 1)対象者  :誰にそのメールを出すか
 2)回数  :何回メールを出すか
 3)訴求ポイント  :それぞれのメールで何を訴えるか?
 4)送信タイミング  :メールをいつ出すか

 これはダイレクトメールを出すときも同じですが、闇雲にダイレクトメールを発送しても、お金ばかりかかってなかなか成果が出ません。電子メールも同じことで、事前にしっかりとした「戦略」をたてた方が、効果が出やすいのです。

 それでは具体的な留意点をお話ししましょう。

 まず対象者は、「全員に出す」か、「特定のセグメント」に絞り込むかを最初に決める必要があります。メールアドレスを知っている人全てに出すもよし、お得様に限定して送るもよし、あなたの戦略次第です。

 ただ当然、送る対象者によってメールの内容が変わってきますから、最初に誰に送るかを考えることが大切です。

 回数に関しては、単発で送るよりも、何回かのシリーズ物にした方が、反応が取れやすいと思います。

 そしてシリーズ物にした場合、それぞれのメールで何を訴えるかを、事前に考えておきましょう。

 これを事前に考えておかないと、すぐに「ネタ切れ」になったり、特別セールのタイミングとメール送信のタイミングずれてしまって、効果的な販促が行えなかったりしますので、注意が必要です。

 そして最後の送るタイミングを考えます。週に1回とか、毎月10日とか、だいたいで結構ですから予定を組んでおきましょう。そうするとこのメールにあわせて他のキャンペーン等を企画しやすくなります。


●メールシナリオのサンプル

 今回の税理士さんの場合は、かなりご無沙汰の人を含めた「見込み客」に対する有料セミナーへの集客という目的だったので、こんな感じでシナリオを組み立てました。

1)対象者:アドレスを入手できた人は、原則全員に送る。
2)回数  :5回
3)訴求ポイント

  初 回 :あいさつ、近況報告、税金のお得な情報。
(狙い:親近感の醸成)

  二回目 :近況報告、税金のお得な情報
(狙い:親近感、および税理士としての信頼感を醸成)

  三回目 :税金の旬な話題と、顧客事例
(狙い:この先生は税金に詳しいと言うイメージを作ると共に、節税対策でお金がたくさん戻ることを認識させる)

  四回目 :有料セミナーの告知(このメールが最大のポイント)

  五回目 :セミナーフォロー
(残席あとわずか!、といった煽りトークで、再プッシュ)

4) 送信タイミング:セミナーの日から逆算して、5日に1回ずつメールを送信。

 こうしたシナリオは、販売しようとしている商品や、対象のお客さんによって当然変わってきます。また最初から上手く行くわけではないので、ある程度試行錯誤が必要です。

 でも、闇雲にトライするよりは、こうした事前の「ストーリー」を想定した方が、失敗したときでも後で色々と修正が効きますので、是非こうした「メールシナリオ」を事前に検討してみてください。


●メール本文のポイント

 さて、次はいよいよメールの本文を作ることになります。

 電子メールの文書を作るときの最大のポイントは、「パーソナル」なメールにすることです。

 郵送の手紙でも、企業が送りつけてきた「DM」と、知り合いが送ってきた「手紙」だと、受け取った時の嬉しさが全然違いますよね。DMだと封を開ける気がしませんが、手紙だとワクワクしながら読みますよね。

 電子メールも同じなんです。差出人が「顔の見えない」企業だと、なかなか読んでもらえません。でも同じ企業が発信するメールでも、個人が出すようなメールであれば、受け手も喜んで読んでくれるのです。

 具体的に「パーソナル」な電子メールを作るためには、下記2点がポイントになります。

 ・ 個人名でメールをだす。できれば、社長さんの本名を使用。あるいは、本名の代わりにニックネームを使うことも可。

 ・ 友人に出すようなトーンで、文書を作る。堅すぎる文書、ビジネス的な文書は、喜ばれない。

 細かいテクニックは色々ありますが、要は「もらって嬉しい電子メール」を作ることがポイントです。

 気持ちとしては、お客さんと「文通」するような気持ちで、相手に喜ばれる電子メールを、「個人」として出しましょう。


●電子メールの活用について

 インターネットで成功しているサイトは、例外なく電子メールを上手に活用しています。ホームページ単体では、お客さんへの販促はかなり難しいのですが、電子メールと組み合わせることにより、色々な可能性が出てくるのです。従って、企業として電子メールをうまく使いこなせるかどうかが、今後のポイントになっていきます。

 そしてそのために必要なのは、「どんな電子メールが喜ばれるか」を研究することです。「まぐまぐ」等のメールマガジンや、「楽天」の人気ショップのメールマガジンを、いくつか購読して、電子メールの研究をされることをお勧めします。