第22回 電子メールの販促術
(2006/03/17)

 今週は「電子メールの活用」についてお話しましょう。


●電子メールによるお客さんフォロー

 あなたも、先刻ご存じの通り、

・新規客への販売と
・既存客への販売

とを比較した場合、新規顧客への販売の方が、コストも手間もかかります。

 マーケティングの世界では、同じ商品を売る場合、新規顧客への販売は、既存顧客への販売の「5倍コストがかかる」とよく言われます。ですから、できれば新しいお客さんを一生懸命開拓するよりも、既存のお客さんに追加で色々と商品を買っていただいた方がいいわけです。

 しかし今までは、既存のお客さんをフォローして、追加商品の購入をお願いするのは、そうとうに大変でした。

 それは、お客さんの住所氏名を入手するのが難しかったことと、それをDMや電話でフォローするコストが馬鹿にならなかったからです。

 でもインターネットの登場とともに、この既存客フォローの敷居が大変低くなりました。

 それは、「電子メール」を使うからです。

 ご存じの通り、電子メールの送信には、ほとんど費用がかかりません。

 ですから電子メールアドレスさえ入手できれば、定期的なお客さんのフォローが、低コストで可能なのです。毎月でも、毎週でも、好きなタイミングで、販促メールをお客さんに送ることが可能です。

 すなわち、電子メールアドレスさえあれば、既存客、見込み客、休眠客、といった、お客さんの性質に合わせて、自由に販促活動が可能になるのです。


●電子メールアドレスの登録

 さて、私の知り合いの税理士の先生も、同じように販促の電子メールを送ることを検討しました。

 しばらく音沙汰ない知り合いや、昔のお客さん、あるいは名刺交換だけした人たちに、電子メールを送って見よう、という試みです。

 そのための最初のステップは、電子メールアドレスの登録でした。

 過去に交換した名刺の束の中から、電子メールアドレスを印刷してあるものをより分けます。最近の名刺には、電子メールアドレスが印刷されているのが多いと思いますが、古い名刺だと望み薄でしょう。名刺が1,000枚あったとして、そのうち電子メールアドレスを印刷してあるのは、6〜7割くらいではないでしょうか。

 さて、こちらの先生も、過去4〜5年の名刺から、アドレスつきの名刺をより分けた結果、約300枚の名刺が残りました。そしてこの300のアドレスを、力仕事でパソコンに登録していくことにしました。

 これを機会に、名刺をパソコン管理しようと思うのなら、「名刺自動読みとり」ソフトを利用すれば、比較的簡単にアドレス以外の項目の登録が可能です。(それでも、名刺1枚3分くらいはかかりますので、300枚だと15時間くらい必要ですが)

 メールアドレスの登録だけだったら、キーボードが得意な人であれば、1枚20秒くらいですから、300枚でも4時間もあれば、登録が終了します。

 こちらの先生の場合は、事務所の派遣の女の子にお願いして300枚の入力を終了させました。

 なお、入力の時のツールは、Excelをおすすめします。Excelで縦に1セル1アドレスの要領で登録をしていけば良いのです。

 とにかくこの段階では、「力わざ」の世界ですから、なるべくたくさんのメールアドレスを登録しましょう。


●電子メールで何を販売するか

 さて、電子メールアドレスの登録が終わったら、次はその人たちに、何を買っていただくかを考えます。

 何を販売しても構わないのですが、「1点突破主義」で商品を選定することをお勧めします。つまり、あまりたくさんの商品を売り込もうとしないで、1つか2つに商品を絞って販促すると言うわけです。

 DMを利用した通信販売のケースでは、カタログに多数の商品を掲載して、お客さんに選んでもらうケースが多いですが、電子メールでそれをやると、ほぼ100%失敗します。

 というのは、電子メールユーザーは、実はあまりじっくりメールを読まないからです。

 あなたもそうだと思いますが、色々な所からメールが1日何十通も送られてきます。すべてのメールを精読していたら、時間がいくらあっても足りません。

 そこで電子メールユーザーは、電子メールを「斜め読み」する習慣があるのです。重要でないメールは、ざっと眺めるだけで、すぐ次に行ってしまうのです。

 当然、電子メールの中に、10種類も20種類も商品を並べても、興味がないと斜め読みされて、とばされてしまいます。普通の人は、自分の興味のない商品情報など読まないですからね。

 従って、ある程度、販売したい商品に絞りこむ事が必要になってくるわけです。

 さて先ほどの税理士の先生の場合は、どうだったでしょう。税理士さんですから、普通の企業とちょっと違いますが、「不動産の節税」とか「相続対策」とか、「税務診断」とか、それなりに売りたい商品(=提案したいサービス)は、たくさんありました。

 でも、先ほど述べたように、「私は、これも、あれも、それもやりますよ」とメールでいくら訴えても、誰も読んでくれません。

 そこで先生が「売ろう」としたのが、「有料の節税セミナー」でした。

 まずはセミナーに来てもらう、その中から具体的に税金の悩みを持っている人に対し、税務相談を行うと言うステップを踏むことにした訳です。

 なお、ここでのポイントはセミナーを「有料」で販促することでした。

 「無料」のセミナーの方が、当然人は集まりやすいのですが、逆に「真剣に悩んでる訳ではない」人が集まる可能性が高いのです。今回はあくまでも、次の税務相談につなげるためのセミナーですから、税務相談したい、すなわち「お金を払ってでもセミナーに出たい」人を集めようとした訳です。

 このように、電子メールで紹介する商品は、なるべく「一つ」に絞り込んだ方が効果が出やすいですから、ノウハウが身に付くまでは、商品の絞り込みを心がけましょう。


 というわけで、今回はここまでといたします。次回はこの続きで、

・メールのシナリオ
・メール本文の書き方

についてお話ししたいと思いますのでお楽しみに。