第20回 顧客セグメントと資料請求
(2006/03/03)

 今回は少し趣向を変えて、「会話調」でお届けしましょう。(会員Aさんと私の会話です)


●顧客セグメントの明確化

「ところで、ホームページを作る目的は、“新しいお客さんを獲得すること”でしたが、Aさんの場合はどんなお客さんを獲得したいですか?」

「そうですね〜。ビジネス的に言うと、手間がかからないで、1回あたりの税理士報酬が多いお客さんが、一番嬉しいですよね」

「と、言いますと?」

「税理士の報酬は、節税対策をご支援して、お客さんが節税することができた金額の一定パーセントを頂く“成功報酬型”なんですよ。」

「なるほど、なるほど。」

「例えば、この間、私がやったのだと、バブル期に仕込んだ土地が大幅に値下がりして、かなりの含み損を抱えたお客さんがいたんです。そのお客さんに対して、土地を売却して含み損をはき出すと同時に、他の所得と損益通算することにより、所得税を1600万円も節税することができたんですよ。」

「へえ〜。相変わらず、大きな金額が節税できるんですね。」

「それで、この節税額の何パーセントかを、報酬として頂く、と言うことになるわけです。」

「ふ〜ん。なるほどね。でも、そう言うイメージだと、ホームページで取り込みたいお客さん像が、かなり明確になりますよね。」

「はあ、そうですか。」

「例えば、今回のホームページだと、こんな感じで対象のお客さんを絞り込みましょうよ。」

・土地の含み損を抱えたお客さん
・株式の含み損を抱えたお客さん
・ゴルフ会員権の含み損を抱えたお客さん
・毎年多額の所得税を支払っている会社のオーナー

「そうですね。こういう悩みをお持ちのお客さんだったら、いいサービスをご提供できる自身がありますよ。」


 ホームページの目的は会社によって様々です。でも、もし御社のHP制作の目的が、Aさんのように「新しいお客さんを獲得すること」であれば、「どんなお客さんを獲得したいのか?」が大切になってきます。

 「お客さんなら何でも良い」と言う場合もあるでしょうが、今回のケースのように、なるべく具体的にお客さんのイメージを絞り込んだ方が、HPを使った販促活動は成功する可能性が高いです。


●HPから資料請求させる

「それじゃ、対象のお客さんのイメージが明確になった所で、お客さんをHP経由でどのように獲得するかを議論しましょうか。」

「そうですね。私としては、ホームページで直接、契約申し込みをしてくれると有り難いですけどね。」

「そうですね。でも、まあ最初は難しいですよ。金額にもよりますけど。」

「まあ、そうでしょうね。」

「まだまだインターネットで直接購入することに対する抵抗感は高いですからね。若い世代はだいぶ抵抗感が薄れていますけど、年輩のかたはまだまだ抵抗感高いですから。特にAさんの場合は、資産家の方がターゲットになりますけど、そうすると皆さんそれなりのご年齢でしょうから・・。」

「じゃあ、どうすれば良いですかね?」

「まずはオーソドックスに、HPから資料請求をしてもらうのが良いと思いますよ。」

「資料請求ですか・・」

「ええ。節税ポイントの“さわり”を資料として送付して、先生の実力を先方に刷り込んでから、向こうからの連絡を待つ、と言う戦法です。」

「はあ、なるほどね。」

「普通、税理士さんと契約を結ぶまでには、何回か電話とか、面談とかをしながら、税理士さんの実力を値踏みすることになりますよね。」

「まあ、そうですね。初対面で、ハイ契約、と言うのはあり得ないですからね。」

「資料を送付すると言うのは、ある意味、この電話とか、面談とかの代わりになるんですよ。資料を送れば、面談が不要になると言う話ではありませんが、面談の回数や時間を減らす効果があります。」

「ほうほう。なるほど。」

「例えば、誰かの紹介で始めて会った場合だと、スキームのポイントとかを最初に何十分かかけて説明されると思うんです。でも、もしこの資料を読んでから面談に望んでもらえれば、その最初の説明の時間が省ける訳ですね。」

「なるほど、それはいいですね。」

「それに、最初に資料を読んで興味がないとか、自分のケースに当てはまらないとかの場合だと、面談の申し込みがないわけですから、時間取って説明してあげたのに無駄足だった、と言うケースがかなり減らせられるわけです。」


 ホームページを作る目的で一番多いのは、「ホームページを利用して売上げアップ」です。でもホームページで直接、サービスや商品を販売するには、かなりのノウハウを必要とします。

 ですから、それほどHPに関する経験がない場合は、まずは「資料請求」をHP経由で行わせて、そのあとの送付資料でセールスを行う、という「2ステップ販売」が良いと思います。

 資料送付と言う方法は、Aさんにご説明したように、見込み客に事前に情報を提供しおくわけですから、フェイス・トゥ・フェイスの時間の節約や、冷やかし客の排除、と言った効果もあります。

 最初のホームページは、「資料請求」からやってみる、その後ノウハウが貯まったら、ホームページの直接販売、と言うのがお薦めの方法です。