第9回 コンサルタントの営業活動
(2005/12/09)

 本コンテンツの読者にも「コンサルティング」をお仕事とされているかたは多いと思うのですが、今週はコンサルティングの営業活動について考えてみましょう。

 まず最初にちょっと「コンサルティング」というお仕事を整理してみましょう。


●コンサルティングのお仕事の特徴

 私が思うに、「コンサルティング」というのは、お客さんにとってみると「購入」するのが難しく、また「コンサルタント」にとっては、非常に「販売」するのが難しい商品だと思います。

 なぜ「コンサルティング」という商品が難しいかというと
・「コンサルタント」の「実力」が分からない
・「コンサルティング」の「成果」がよく分からない
・「コンサルティング」という商品は、めったに購入しない(=購入頻度が低い)
・「コンサルティング」の「価格」が一般的に高い(=高額商品)
といった特徴を持っているからです。

 ですから、コンサルティングを販売するためには、お客さんに
・この「コンサルタント」は優秀だ、と思わせる
・コンサルティングの費用は高いけど、その何倍もの「成果」が得られそうだ、と言うことを納得してもらう
ことが不可欠になります。

 私は、今はほとんど「コンサルティング」をしていないのですが、昔、野村総研にいた頃は、1回3千万円くらいの「コンサルティング」を行っていました。(今になって思うと、高いですよね〜(^.^)

 その時の経験から申し上げると、コンサルティングの販売プロセスは、こんな感じになります。
1)見込み客(コンサルティングに興味がある人)を集める

2)コンサルティングの提案をさせてもらう

3)提案を通じて、コンサルタントの実力をアピール

4)担当者の方に「この人にコンサルティングを頼みたい」と思っていただく

5)社内の稟議を通しやすいような「条件」を提示してあげる

6)めでたく、コンサルティングを「受注」
   このフローは、コンサルティングに限らず「高額商品」を販売するときは、たいていこのような流れになると思います。

 さて、私は「野村総研」にいましたので、1)と2)はあまり苦労しませんでした。「野村総研」ブランドがありますので、「見込み客」のかたから、放っておいても「提案を依頼して下さい」というお願いがやってくるのです。

 もちろん、3)から先は、各コンサルタントの実力次第です。提案した後は、有名なコンサルティング会社4〜5社との「コンペ」になりますから、何千万円もするコンサルティングを受注できるかどうかは、そのコンサルタントの「実力」と「人間性」次第になってきます。

 ただ、高額商品を販売する「最大の難関」である、「見込み客を集めて、提案の機会をもらう」と言うところは、ほとんど苦労せずにすみました。

 さて、中小企業診断士のような「独立系コンサルタント」や、税理士等の「士業」の人が苦労するのが、この最初のステップです。

 自社の「コンサルティング」や「アドバイスサービス」に 興味を持ってくれそうな人を見つけ出すのが一苦労。異業種交流会に参加したり、知人に紹介を頼んだりと、あの手この手で「見込み客」の開拓に励みます。

 でも、概して商売には繋がりません。交換する名刺の数は順調に増えていきますが、提案させてもらえるお客さんはほとんどいません。またせっかく提案しても仕事には繋がらず、「いいお話をありがとうございました」というのがほとんど。

 これが、代表的なパターンではないでしょうか?


●ホームページで見込み客を集めましょう

 こうした苦労を少しでも減らすために、私がご提案しているのは、「ホームページで見込み客を集める」ことです。

 例えば、節税対策のコンサルティングを提供するのなら、異業種交流会で名刺を100枚集めるよりも、節税対策に興味を持っている人の「メールアドレス」を10個集める方が、よほど商売に繋がりやすいと思います。

 異業種交流会で集めた名刺は、「節税対策に興味がどれくらいあるか分からない」人たちですが、「節税対策に関する」ホームページで集めたメールアドレスは、「節税対策に関する興味が非常に高い」人たちです。

 当然、その人たちに「上手にアプローチ」すれば、異業種交流会で知り合いになった人たちにアプローチするよりも、よほど効率的にビジネスにつなげることができるでしょう。

 是非是非、お試し下さい。

 ただここで注意頂きたいのは、
・ホームページは、コンサルティングサービスを販売したり、
・コンサルティングに関する「お問い合わせ」をしてもらう
場所ではなく、
・見込み客のメールアドレスを集める
ための場所だ、と言うことです。

 特に、「お問い合わせはこちら」とばかりに、住所氏名の入力を求めるホームページが多いですが、この方法ではほとんど「見込み客」は集まりません。お問い合わせした途端に、売り込みされそうなので、皆さん引いてしまうからです。

 ですから、「ガイドブックをあげます」とか、「メールマガジンを配信します」とか言った形で「メールアドレス」を登録して頂く方法に特化しましょう。

 とにかく、「ホームページは、見込み客のメールアドレスを集める場所」という風に、HPの目的を明確化することが成功の秘訣です。