5.パートナーを見分けるコツ

第18回 パートナー選びに妥協は禁物

 M&Aを希望される所長先生の中に「私は古くから仲の良い友人に相談しているから大丈夫」とお話しになる先生とお会いすることがあります。

 「仲が良いから」「経験豊富だから」と言っても、それでM&Aが成功するとは限りません。また、身近な人ほど、お金の部分や本音を話づらいこともあると思います。その結果、職員や顧問先の面倒を見てくれない、当初と話が違うなどと、後にトラブルになってしまうことも多く、残された職員や顧問先を不幸にしてしまいます。

 そうならないためにも、職員や顧問先をどうしたい、事務所をこうやって大きくする、というビジョンを持ったパートナーを自分の目で見て選んでいきましょう。

 もちろん、所長先生ご自身の人脈だけでパートナーを探すのは限界がありますので、自分が納得のいく相手を探すために、全国の大手税理士法人から、地域密着の税理士事務所まで幅広いネットワークのある、会計事務所M&A支援協会に依頼することがベストです。


M&Aは手段であって目的ではない

 M&Aで事務所を引き継ぐ側の最も大事な考え方としては、M&Aにより引き継いだ後に、その事務所をどうしたいかというビジョンを明確に持って、営業戦略の一環として利用する意識でないと、M&A本来の価値を見いだせません。

 「M&Aは簡単に顧問先が増えるし、売上が伸びる」。

 もちろん、これも引き継ぐ側の大きなメリットです。

 しかし、最も重要なことは、M&Aは営業戦略の手段であって、決して目的ではないということです。