4.成功するM&Aのポイント

第16回 相続発生後の承継

 万一、所長先生が突然亡くなってしまった場合はどうなるでしょう?

 親族や残った職員が代わりの所長先生を急いで探すことになりますが、引き継ぎに十分な時間が取れず、顧問先が離れていってしまいます。

 また、相続後にM&Aをしても、顧問先の引き継ぎが上手にいかず、結果として売上が下がってしまい、十分な対価を得られません。

 これでは所長先生の親族や職員、顧問先のみんなが不幸です。事業承継に対して何もせずに亡くなってしまうという最悪の事態は、何がなんでも避けるようにしましょう。


所長先生にできるだけ元気でいてもらうこと

 今まで何十年以上も事務所を守ってきた所長先生。当然、顧問先や職員との付き合いも相当な時間になります。

 所長先生がいなくなってしまうと、どんなに大手の引き受け先であっても、顧問先や職員は必ず不安になってしまいます。

 その不安によって、事務所と縁を切ってしまう顧問先が出てくるかもしれません。職員も今までついてきた所長先生と一緒に辞めてしまうこともあります。独立してしまい、競合になってしまったら目もあてられません。

 引き受ける側としては、なるべく所長先生が元気に事務所に残ってもらえることを前提に考えて、顧問先や職員を不安にさせないように心がけましょう。所長先生の元気に働く姿を見れば、顧問先や職員も安心してついてきてくれます。