個人から法人への流れの中で、不動産所有会社の利用があります。このスキームについては既になじみのあるものかと思います。一方で、法人化する際の設立形態として最近注目されているのが「一般社団法人」です。 不動産所有会社の設立についての効果は、多くの先生がご存じのことかと思います。「一般社団法人」については、株式会社の株式にあたる概念がないので出資財産は個人の財産から切り離すことができ、以降に相続が発生しても一般社団法人は相続税の対象から除外することができることがメリットとして注目されています。 そこから、不動産所有会社というスキームに、一般社団法人を利用した対策を検討するケースがあります。 表向きは確かにメリットの大きさを感じますが、実態となると単純ではないようです。 特に、一般社団法人に関しては、税務上不透明な部分がまだ多くあります。また、乗っ取りなど実務上のリスクや不安材料も残ります。 そこで、不動産所有会社による法人スキームに、一般社団法人を活用した場合の留意点と、否認されないためのポイントを整理しました。さらに、そこに信託を抱き合わせたスキームの効果についても、併せて解説いたします。税理士としては、顧問先の利益となるような種々の対策を検討し、アドバイスしていくことが求められます。その際には、単に流行りや表面的な効果のみで判断することなく、本当の効果を深く探っていくかないと、大きなミスにつながってしまいます。
|