われわれ税理士が判断に悩む実務の一つに、役員退職金の適正額の問題があります。節税効果も大きく、それだけ税務上の問題にもなりやすい部分です。特に同族会社の場合には、支給時期・金額などを恣意的に決められることからも注意が必要で、否認されないためにも事前の準備が必要となります。 役員退職金のうち、不相当に高額な部分の金額は損金として認められません。この不相当に高額か否かについては、役員退職金の適正額を求める方法として功績倍率と呼ばれるものがあります。 また過去の判例から見た妥当な金額というものもありますが、これらはあくまで税務上の問題とならない適正額であり、最終的にいくらが適正額かは経営者の経営判断となります。 当然、われわれは税務上の問題を無視するわけにはいきませんが、ただそれは意思決定する上で最も重要なことではないということです。 この入り口の部分を間違えてしまうと、「あなたは誰の顧問税理士なのか?」ということになります。では、顧問税理士としてどう対応すべきか。 経営者が支給したいという金額が課題と指摘されたとき、それが妥当であることを主張するためには、議事録などでその根拠を示しておくことです。恐らくこのことは、先生方もご存じのことかと思いますし、実際に作成されていることかと思います。ここで重要なのは作成するタイミングであり、どう作っていくか進め方です。 今回は、実際のサンプルを提示しながら、役員退職金の適性額が説明しやすくなる議事録作成のコツと勘所について解説いたします。
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