税理士が、相続のお手伝いをするにあたっては、「一次相続の遺産分割の工夫次第で、二次相続の相続税負担を軽減することができる」ということを念頭に置いて提案やアドバイスしていくことが求められます。つまり、一次相続のみで考えることなく二次相続まで考え、遺産分割協議に関わっていかなくてはいけません。 そのため、税理士にとっては相続税の申告業務は「単発事案」ではありません。一次相続の遺産分割協議をリードすることは、第二次相続対策の着手することと同じであり、「継続案件」と考えることができます。 各種特例選択に当たっては、有利選択ができるように遺産分割から考慮して行うことが必要です。その上で、誰が特例適用を受けるのか慎重に行わなければなりません。 また、納税方法についても、相続財産のうちに納付すべき相続税額以上の金融資産があっても、遺産分割によっては特定の相続人は現金一時納付が困難となる場合も考えられます。 そして、延納や物納を選択するときには、申請期限内に一定の手続きが必要となります。さらに、配偶者の税額軽減にあるように、配偶者が何をいくら相続するかによって一次相続における相続税の納付税額や二次相続の相続税に大きな影響を与えます。 そこで、一次相続において、相続税の申告業務を単発事案にしないようにするために、二次相続まで考え、どのように遺産分割に関わればよいかなどについて、設例を用いて解説していただきました。
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