組織再編税制は、平成13年度改正において創設されました。その後、平成18年度改正での会社法への対応、平成22年度改正でのグループ法人税制等の導入への対応で整えられ、ほぼ制度的には固まってきました。実務の上でも当初大企業中心で実施されてきましたが、制度改正されるにつれ実務の手法も確立し、中小企業での実施も一般化されてきました。 しかし、現在は、相続・事業承継対策として活用するのが最前線です。以前から事業承継で使えるとよく言われてきたのが会社分割です。相続人に長男と次男がいて、社長さんが経営している会社がひとつの場合、長男・次男のどちらに継がせるかが問題です。 そこで、例えば、建設会社で、建設部門と不動産部門がある場合、それを分割して2つの会社にすれば、兄弟それぞれが社長として継ぐことができます。会社を分け、兄弟それぞれに別々の会社を継がせる、という形が組織再編を使った事業承継対策で言われる典型的なパターンです。 しかし、最前線はそれだけではありません。例えば、 1)株式交換で株価を引き下げ 2)株式移転+会社分割で株価引き下げ 3)債務超過会社に対する貸付金を処理 4)建設業の経審を考慮した事業承継 5)医療法人のMS法人を使った事業承継 6)シンガポールに設立した会社を活用 etc とさまざまなスキームが実際に用いられています。 第1巻では、なぜ組織再編を使うと相続・事業承継対策になるのか? 第2巻では、相続・事業承継対策の注目スキーム10と理論と実例を丁寧に解説いただきました。 どんな時に使えるのか? そして、その場合、税務上どんな問題があって、その解決にはどうするのか? プロとしてぜひ押さえてください。
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