貸家建付地の評価をする際に賃貸割合という概念があります。ご存じの通り、賃貸割合が100%に近いほど評価は下がります。実は、この「賃貸割合」をしっかり考えないとトラブルにつながります。 例えば、相続が発生したときに、全10室あるアパートのうち、2室が空室であった場合、賃貸割合は8/10となります。しかし緩和処置として、継続的に賃貸されていたアパート等で課税時期において一時的に空室であったと認められる部分がある場合には、賃貸されていたものとして評価してもよいとあります。そのため、居住者を募集していれば分子に入れてよいと考える先生がいます。 笹岡先生はその考え方は危険だとおっしゃいます。 「継続的に賃貸されていたアパート等で課税時期において一時的に空室であったと認められる部分」については国税庁から情報が出ており、5つの要件を事実関係から総合的に判断するとなっています。 本講義は、居住者募集中にもかかわらず、賃貸割合100%を否認された事例をあげ、実務ではどこまで検討すべきかが分かります。 また、要件の中でも判断に悩む「例えば1カ月程度」とはどのように考えればよいのか。実は23カ月間空室だったにも関わらず賃貸割合100%で認められた事例があります。ここが実務のポイントになります。この一定期間を実務ではどのように判断するのか。 決して特殊な論点を解説しているわけではありません。実務において検討しなければならない大切なポイントです。
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