第79回 6要素解説 ― 健全性の視点(5)

■健 全 性

 健全な会社とは、どのような会社をいうのでしょうか。健全な会社が「会社作り」の目標とされるのは何故でしょうか。健全な会社といえるためには、どのような指標を考えるべきでしょうか。人間の体でいえば、健康体、健康な体作りに相当するものです。病気になりにくい健康体は、人間の活動の基本といえます。人間作りの始めに体力作りがあり、体力作りの基本が健康体作りにあるように、会社作りの基本が健全性にあります。

 この健全性は、会社にとっての打たれ強さであり、常に何らかのリスクを覚悟しなければリターンを得ることはできません。よく言われる、「ハイリスク・ハイリターン」「ローリスク・ローリターン」の原則です。

 このうち、リスクについては、かなり深く、確実に予測することは、リターンに関する不確実性にくらべて、容易といわれています。このことは、会計上の原則としての保守主義(予想の収益は計上せず、予想の費用は見込んでおけ)や、「取らぬ狸の皮算用」といった諺にもでてきます。

 会社の発展の基礎に、このような「倒産しない会社」「倒産しにくい会社」が会社作りの基本にあります。その意味で、健全な会社とは、まず「倒産しない会社」「倒産しにくい会社」というイメージを持つことが重要です。この健全性の指標としては、(1)自己資本比率 (2)固定比率 (3)固定長期適合率 (4)流動比率 (5)当座比率 の5つが考えられます。

 ここでは、(1)自己資本比率   (2)固定比率
      (3)固定長期適合率  (4)流動比率
      (5)当座比率              をみていきます。




(5)当座比率

 当座比率とは何か。具体的に2〜3ヶ月で現金化できると考えられるものとして、(1)現金預金 (2)受取手形 (3)売掛金 (4)有価証券(一時所有で市場性のあるもの−何時でも換金可能な有価証券)を当座資産と考えています。この当座比率の方が、流動比率より支払期間をもっとシビアに考えていくことができます。予想される返済に対しては、確実にあてにできる換金可能な資産が充当されるべきであり、これこそが健全経営にとって、より重要な指標となるのです。


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