経営者にとって「決算書」の見方のポイントを更に分り易く、解説していきます。是非、この機会に「決算書」が経営者にとって身近なものにしていただきたいと思います。 前回、【収益性】は、どのようなものなのか解説し、(1)総資本経常利益率、(2)付加価値率 の解説してまいりました。引き続き【収益性】の分析項目を解説していきます。 【 収益性 】 企業経営の目的が「社会貢献度を高めながら利益の極大化を図る」ことにあるとすれば「収益性」を高めることは目的そのものです。また、資本主義経済は投下資本に対してどれだけの収益を生み出すかによって投資対象が選ばれる社会でもあります。このようなことから「収益性」は企業経営そのものを評価するうえで根源的な要素であるといえます。 決算診断提案書における収益性の分析指標 (3)売上高営業利益率(本業の営業活動の利益率)
で計算します。 理解するためのポイント 売上に対してどの位の営業利益が出たかを示す指標であり、営業活動によってもたらされる利益率のことです。この比率が高いほど経費等も考慮した利幅が高いことになります。利益の多少だけでなく、営業力・経営体質・競争力をみる指標にもなります。 この分析項目の水準を高めるためのポイント 付加価値率を高める。 製造原価率を下げる。 売上に対して、人件費・物件費を下げる。 (4)売上高経常利益率(経営活動の利益率)
で計算します。 理解するためのポイント 売上高に対してどの位の経常利益が出たかを示す指標であり、売上高の大きさが即利益に結び付いているか判断できます。この比率が高いほど経費、営業外損益も考慮した利幅が高いことになります。売上高営業利益率に近い分析項目であるが、売上高経常利益率のほうが、営業外損益まで考慮しているため、より最終的な収益性に近い。 この分析項目の水準を高めるためのポイント 営業外費用の中の支払利息、受取手形割引料などの金融費用を引き下げる。 遊休資産の売却、棚卸資産の処分により借入金を返済して金融費用を引き下げる。 (5)売上高支払利息率(金利負担の効率性)
で計算します。 理解するためのポイント (支払利息−受取利息)の負担が売上高に対し、どの程度であるのか示す指標であります。例えば、売上高支払利息率2%の場合は、100円の売上高に対し2円の金利負担があるということを意味します。この比率が小さいほうが経常利益は大きくなります。 この分析項目の水準を高めるためのポイント 支払利息を小さくし、受取利息を大きくする。売上を高める。 支払利息は最大限で経常利益の二分の一、営業利益の三分の一以内にとどめることが、健全体質を維持する基本である。 是非、この機会に決算診断をしてみては、いかかでしょうか。
|