第26回 現状の把握と問題点をつかむ

 経営者にとって「決算書」の見方のポイントを更に分り易く、解説していきます。是非、この機会に「決算書」が経営者にとって身近なものにしていただきたいと思います。

 前回、“「攻め」と「守り」からみた会社の位置を把握する”ということで、説明しました。

 「攻め」と「守り」のレベルをつかんだら、次は「強み・弱み」を分析し、改善の方向を探らなくてはなりません。どんなに業績がよくても、経営課題のない会社などありませんから、『健康優良型A』の会社もこれを行う必要があります。

 自分がどの位置にいるのか?「数字に基づく経営」を行うために、自社の経営体力を採点して「総合評価」し、10段階の自己格付けを6要素診断によりできます。


経営体力10段階評価 社長に「元気を出す」メッセージ

経営体力タイプ 得点範囲 経 営 志 向 イメージ
健康優良型 90点以上  (夢戦略実践型)
(1)自社の夢・目標を実現
(2)常に感謝の心をもつ
80〜89点  (戦略・可能思考型)
(1)可能性を実行・実現
(2)いつも笑顔で貢献する
体力充実型 70〜79点  (積極的挑戦型)
(1)相手を良くして喜ばれる
(2)自社も成功する
60〜69点  (長所伸長型)
(1)常に前向きである
(2)相手をほめ、長所を見る
体力維持型 55〜59点  (プラス発想型)
(1)実現できることを信じる
(2)絶えず目標をもつ
50〜54点  (成功可能型)
(1)勇気をもって踏み出す
(2)絶えず能力を高める
体質改善型 40〜49点  (改革旺盛型)
(1)経営環境の変化に耐える
(2)絶えず工夫をする
30〜39点  (体質改善型)
(1)可能性を信じる
(2)プラスの環境をつくる
体力変革型 20〜29点  (自社変革型)
(1)前進していく
(2)マイナスを考えない
19点以下  (苦難観の革新型)
(1)障害を乗り越える
(2)マイナスを見ない

決算診断提案書  (2)


 会社経営は戦いです。会社は順調な発展時もあれば、停滞する時、更には経営危機を乗り切るための変革時など、これらの循環の中で活動を続けています。良い項目に関しては、更に1つ上のランクを目指して、悪い項目は早くその事を見直しして、危機から脱出できるようにしなければなりません。人の体と同じで悪いところは治療しなければなりません。

 「強み・弱み」を分析するためには、「6要素・30項目」の仕訳からはじめます。


6要素・30項目とは
【収益性】
(1)投下資本の利益貢献度はどうか
(2)顧客満足度の価値はどうか
(3)本業の営業活動の利益率はどうか
(4)経営活動の利益率はどうか
(5)金利負担の効率性はどうか

  【生産性】
(1)1人当たり正味稼ぎ高はどうか
(2)1人当たり本業活動成果はどうか
(3)1人当たり経営活動成果はどうか
(4)従業員の給与レベルはどうか
(5)固定資産の利益貢献度はどうか

【資金性】
(1)投下資本の売上貢献度はどうか
(2)売上代金の回収の早さはどうか
(3)棚卸資産の足の早さはどうか
(4)固定資産の売上貢献度はどうか
(5)回収と支払のバランスはどうか

  【安定性】
(1)経営環境への対応力はどうか
(2)人件費と稼ぎ高のバランスはどうか
(3)投下資本の借入依存度はどうか
(4)売上高と借入額のバランスはどうか
(5)借入返済の余裕度はどうか

【健全性】
(1)短期的支払能力はどうか
(2)現在の支払能力はどうか
(3)自己資本の投資充当度はどうか
(4)長期資金の投資充当度はどうか
(5)企業生命力の強度はどうか

  【成長性】
(1)1人当たり売上高の伸びはどうか
(2)1人当たり稼ぎ高の伸びはどうか
(3)1人当たり本業成果の伸びはどうか
(4)1人当たり経営成果の伸びはどうか
(5)自己資本力の強化度はどうか


 【収益性】 【生産性】 【資金性】 【安定性】 【健全性】 【成長性】の6要素5項目の経営指標を10段階にランクづけしました。

 その結果を整理するのです。
 「1 〜 3」が劣る項目です。
 「4 〜 6」が中程度の項目です。
 そして「7 〜 10」が優良な項目です。


6要素からみた強味・弱味

  劣る項目(1〜3) 中程度の項目(4〜6) 優良な項目(7〜10)


  総資本経常利益率
売上高営業利益率
売上高経常利益率
売上高支払利息率
付加価値率


一人当り付加価値 一人当り営業利益
一人当り経常利益
平均従業員給与
固定資産投資効率
 


支払対受取回転日数比 受取勘定回転日数
固定資産回転日数
総資本回転日数
棚卸資産回転日数


労働分配率
借入金依存度
預金対借入金比率
経営安全率 借入月商比率


  自己資本比率
固定比率
固定長期適合率
流動比率
当座比率


営業利益増加率
経常利益増加率
自己資本増加率
売上高増加率
付加価値増加率
 

  決算診断提案書  (30)


 劣る項目については、早急に改善すべきであることが、すぐにわかります。

 これで、現在の経営課題が浮かびあがってくるはずです。
 あなたの会社はどうでしょうか?この機会に決算診断をやってみてはいかがでしょうか?





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