第14回 損益計算書のカンタンな見方(3)

 引き続き、経営者にとって「決算書」の見方のポイントを更に分り易く、解説していきます。
 是非、この機会に「決算書」が経営者にとって身近なものにしていただきたいと思います。



●損益計算書は「収益」「費用」「利益」から成っている

 経営者が損益計算書を「読み込む」場合のポイントですが、次の図のような形にして考えるとわかりやすくなります。


損益計算書の見方


 損益計算書にはいろいろな科目がありますが、基本的に収益(売上高)と費用と利益で成り立っています。
 そしてその関係は、図のように費用(変動費と固定費)と経常利益によって売上高が構成される、という形になっています。
 皆さんはすでにご承知でしょうが、「費用」は変動費と固定費に区分されます。
 変動費というのは、売上の増減に伴って変動する費用のことです。商品原価や材料費、外注費などは商品がうれれば売れるほど増え、売れなくなれば減りますから、変動費に当たります。
 固定費は、売上の増減に関係なく固定的に発生する費用です。人件費や減価償却費、金利などは、商品が売れても売れなくても一定ですから、固定費ということになります。


●売上高から変動費を引いた「付加価値」をつかんでおく

 図のように売上高から変動費を引いたもの、つまり固定費と経常利益を合せたものを「付加価値」といいます。
 売上高から変動費を引いたものが付加価値で、その付加価値から固定費を引いたものが経常利益、というわけです。
 ですから、固定費が付加価値より多くかかってしまうと、経常利益はマイナスになります。つまり付加価値というのは「固定費をここまでの金額に抑えれば赤字にならない、限界の金額」といえます。
 そこで付加価値を、「限界利益」とも呼ぶわけです。
 ですから固定費、変動費の金額と、付加価値の金額ははっきりつかんでいるだけでも意味がありますが、この付加価値の数字は、もっと幅広く、自分の会社を格付評価する際に用いるので、大変重要な数字といえます。


●損益分岐点売上高も把握する

 もう一つ、経営者が確実につかんでおかなければならないのが、損益分岐点売上高です。
 損益分岐点売上高とは、経常利益がゼロになる売上高のことです。言い換えれば、「固定費と同額の付加価値を生むための売上高」ということです。

損益分岐点売上高は、
 《 固定費÷付加価値率(付加価値÷売上高) 》


 の算式で求めることができます。
 売上高が損益分岐点売上高を超えると利益が出ますが、それ以下だと、会社は赤字ということです。損益分岐点売上高は、会社が何としても達成しなければならない売上高なのです。
 例えば売上高が73,000万円、変動費が45,000万円、固定費が27,500万円で付加価値が28,000万円の、図のK社のような会社の場合の損益分岐点売上高は、
《27,500万円(固定費)÷〈28,000万円(付加価値)÷73,000万円〉》で71,696万円です。
 したがってK社としては、赤字経営に陥らないために何かと71,696万円以上の売上を上げなければならないわけです。





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