第40回 経営者の性格が企業の存続を握っている

 最近、老舗企業の不祥事による倒産が非常に目立ちます。創業経営者は、苦難の時代を生き抜き、身体・精神共に頑健であり、仕事熱心で、人情に機微に通じているなど諸々の長所を持っています。

 反面、創業経営者は、以下の5つの弱点を抱えています。

1. 友人がいないか、または少ない。
多くは学歴が高くなく、仕事一筋・仕事最優先で生きてきた人が多いので、胸襟を開いて語り合える親友が少ないのです。
2. 遊びも少なく、遊び下手。
仕事中心の生活ですので、世間が狭くなり、情報に疎い人が多いようです。
3. 自分のやり方に自身があり、独善・独断に走りがち。
たやすく人を信用せず、人の意見を聞こうとしない傾向がある。
しかし、いったん信用すると、どこまでも信頼して、その人の言うことなら、素直に聞き、助言を必ず実行する面も備えています。
4. 抽象的なものには関心が薄く、具体的なものしか信用しない。
必ずしも、弱点とは言えませんが、実際に手に掴んだものにしか信用しないという面があります。実証的で具体的な方法にしか感心がない傾向があります。
5. 公私混同型のタイプである。
会社を自分のものと思う意識を強く持っています。子どもと会社は自分のものでありながら、成長すると自由にならないものです。
そのことを自覚して、「自分のもの」という意識から脱皮して、公共性(「企業は公器」)と考えることが大事になります。生業から企業へと脱皮できる分岐点は、ここにあります。


 会社は、経営者の能力、器量以上には大きくなりません。したがって、経営者の能力・器量と会社の規模を秤にかけて、常に経営者の能力・器量が大きくなるように努力をしていくことが大切です。

 老舗の企業であれ、ベンチャー企業であれ、共通していることは、企業は生き物だということです。生き物であれば、揺れ動く環境の中で、たえず浮動し、内部変化を起こしていきます。企業が生命を保ち、成長していくには、経営努力を常にし続けていくことが必要です。

 経営努力を考えるとき、知っていてほしいことがあります。それは、経営コンサルタントで著名なタナベ経営の創業者の田辺 昇一氏が言われている「事業繁栄の4C原則」です。

4Cとは、
 ●コンディション(経営環境)
 ●キャピタル(資本)
 ●キャパシティ(経営能力)
 ●キャラクター(経営者の性格)


の4つです。

 この中で一番大事なのはキャラクター(経営者の性格)です。倒産した会社の70%は、経営者の性格に原因があったといいます。経営の悪化の道をたどるのも、経営者の不正直、不誠実、さらには優柔不断の性格に原因があります。経営者のキャラクター(性格)が会社の存続の生命線であることをしっかり心に刻んで、日々の経営活動に臨んでいただきたいと思います。





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